目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。
フィジカルアセスメントにおいては、その結果や数値だけでなく、なぜその数値になるのか、またその意味を知ることで、対象者の状態像の理解に役立ちます。
今回は、酸素解離曲線の見方、覚え方についてまとめて行きたいと思います。
言葉の確認(SaO2、PaO2、SpO2)
「SaO2」は、S:Satulation(飽和度)、a:artery(動脈)、O2:Oxygen(酸素)の略で、動脈血の酸素飽和度の実測値を示します。
つまり、血液酸素量のうち何%が血液ヘモグロビンと結合しているかを表しています。
正常では、動脈血のSaO2=100%、静脈血のSaO2=70%となります。
「PaO2」は、「動脈血酸素分圧」の事をさします。
「PaO2」は、動脈血の中に含まれている酸素の量を圧力の単位(Torr)で示したものです。
基準値は80-100Torr(年齢により異なる)となり、PaO2の低下は呼吸不全を示しています。
SaO2とPaO2は混同しやすいため注意が必要です。
「SpO2」は、S:Satulation(飽和度)、p:pulse(脈拍)、O2:Oxygen(酸素)の略で、間接的にSaO2を測定する方法ですが、測定条件が整えば、両者は近時値を取るとされています。
酸素解離曲線とは
酸素解離曲線は、縦軸にヘモグロビンの酸素飽和度(SaO2)、横軸に酸素分圧(PaO2)をとったグラフになります。
これは、血液ガスにおけるSaO2とPaO2の関係性を表しており、酸素分圧に対してヘモグロビンがどのくらい酸素と
結合しているかを示しています。
酸素解離曲線はS 字曲線になっています。
酸素分圧(PaO2)が40-70Torrくらいまでは大きく酸素飽和度が増加しますが、それ以上の分圧になると、傾きは緩やかになり、分圧の上昇に対して酸素飽和度の増加はわずかとなります。
臨床的には、酸素分圧が60mmHgを切ると、曲線は急に低下していくということに気をつけておく必要があります。
すなわち、SpO2が90%に近づくと、PaO2は大きく下降し始めるという事です。
そして、SpO2が90%を下回ると、PaO2は急激に変化します。
同じ程度の酸素分圧に対して、ヘモグロビンの酸素飽和度の低下がより大きくなってしまいます。
この状態では、動脈血における酸素の運搬能力は著しく低下してしまいます。
酸素解離曲線の右シフト(Bohr 効果)
酸素解離曲線は、いくつかの条件が重なる事で、その線が右方向へシフトします。
これを、「Bohr 効果」と呼びます。
酸素解離曲線が右に移動すると、同じ酸素分圧でも酸素飽和度は低下します。
酸素解離曲線が右に移動する条件(Bohr 効果が現れる条件)は、
・PaCO2上昇
・pH低下
・体温上昇
・2,3-DPG(2,3-ジホスホグリセリン酸)上昇
となっています。
上記のような条件では、ヘモグロビンから多くの酸素が離れて、末梢組織に酸素が供給されやすくなります。
PaCO2上昇や体温上昇では組織での代謝亢進するため酸素をより多く必要とします。
体内が酸性に傾くと、ヘモグロビンは酸素と結合しにくくなり、酸素解離曲線は右に移動します。
2,3-DPGはグルコースの代謝過程で生じる産物で、2,3-DPGが増加するとブドウ糖代謝が亢進し酸素が必要な状態となります。
Bohr 効果を臨床的に考える
Bohr 効果により、酸素解離曲線が右に移動すると、同じ酸素分圧でも酸素飽和度は低下します。
通常は、PaO260mmHgの時、SpO2 90%となりますが、酸素解離曲線が右方偏位した状態で、同じ数値を保つには、それよりも高い酸素分圧が必要になります。
・PaCO2上昇
・pH低下
・体温上昇
・2,3-DPG(2,3-ジホスホグリセリン酸)上昇
が生じている状態(酸素解離曲線が右方偏位)では、吸入酸素濃度を上げ、動脈血の酸素分圧を上昇させないと、SpO2 90%を保てないということになります。
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