リハビリテーションとリスク管理-呼吸に異常がある時の症状-

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

呼吸についてのおすすめ記事

リハビリテーションとリスク管理

リハビリテーション実施に際には、対象者の病態を把握することで、対象者の状態に応じたリスク管理項目を選定する事が可能です。

まずは、対象者が患っている疾患の理解が求められます。

疾患の理解が進むと、なぜその症状が出現するのか、出現した時にはどのように対応するのか、全体像を捉えるためにはどのようなデータを収集すれば良いのかといった事が考えやすくなります。

その情報をもとに、リハビリテーションの運動処方内容を決定する事で、リスク管理に基づいたリハビリテーションを提供する事ができます。

今回、リハビリテーションとリスク管理の中でも、呼吸に異常がある時の症状についてまとめていきたいと思います。

観察ポイントになる!呼吸に異常がある時の症状

喘鳴(ぜんめい、ぜいめい)

喘鳴とは、呼吸をするときに、「ヒューヒュー」、「ゼーゼー」などと音がすることです。

喘鳴は聴診器なしでも聞く事ができます。

喘鳴は、基本的には空気の通り道である気道が狭くなったときに出る音になります。

喘鳴には、いくつか種類があります。

・狭窄性
・貯留性
・呼気or吸気優位
・覚醒or睡眠優位

気道の狭窄による狭窄性の喘鳴では、「ガーガー」、「カーッカーッ」、「ゴーゴー」、「グーグー」、「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」などと音がします。

貯留性の喘鳴は、泌物(唾液、鼻汁、たん)や、食物・水分が気道に溜まることで「ゼロゼロ」、「ゼコゼコ」、「ゴロゴロ」、「ズーズー」などと音がします。

呼気性喘鳴は、主に息を吐く時に聞こえる喘鳴で、下気道の空気の流れが悪い場合に認められます(気管支炎や細気管支炎、喘息など)。

吸気性喘鳴は、主に息を吸う時に聞こえる喘鳴で、上気道での空気の流れが悪い場合に認められます。

呼吸が速く浅い

呼吸時に、「速く浅い」呼吸が認められる場合は、一回での換気量が減少しており、必要な酸素量を摂取するために呼吸回数を増すことで代償している事が考えられます。

陥没呼吸・努力呼吸、閉塞性無呼吸

陥没呼吸や、一生懸命に呼吸をしようとして肩も動かす肩呼吸、努力呼吸となりがちで、呼吸がさらに余裕がないと、鼻翼呼吸・下顎呼吸となります。

「陥没呼吸」とは、息を吸おうとして横隔膜などが動いてもそれに見合う量の空気が肺に入っていかないと、息を吸う時に、胸骨上部(のど仏の下の部分)や、肋骨の間などの、体の表面が凹む状態です。

「陥没呼吸」では、胸骨の上の部分の陥没は、服を着た状態でものどの下の部分の陥没として観察することができます。

「鼻翼呼吸」は息を吸うときに鼻孔を拡大させる状態です。

「下顎呼吸」は息を吸うときに下顎を下げる状態です。

どちらも、息を多く吸い込もうとする努力呼吸の1つとなっています。

口唇・爪チアノーゼ

酸素不足の程度が強くなると口唇・爪のチアノーゼを呈します。

最終的には、重度の低酸素症や炭酸ガス(二酸化炭素)の貯留による意識障害につながり、命にかかわる状態とな流ので注意が必要です。

「チアノーゼ」とは、酸素と結びついていない赤血球中のヘモグロビンが増加したときに口唇、舌などが紫色になることです。

酸素飽和度が70~85%でチアノーゼを時に認め、70%以下では確実に認めます。

注意点として、血液の循環が悪い時(手足が冷たい時など)に出る末梢性チアノーゼは酸素不足によるものではありません。

この場合、血液循環が良くなると改善します。

心拍(脈拍)数が速くなる

体内での酸素供給が適切に行われなくなると、通常では交感神経が緊張して頻脈傾向になります。

基本的には酸素飽和度の確認を

呼吸の異常が認められる場合や、呼吸器疾患を持たれている場合には、基本的にはパルスオキシメーターを使用し、酸素飽和度を測定しながらリハビリテーションを実施する事が求められます。

モニタリングする事で、どのような運動内容により値が変化したかを追えるので、適切な運動処方内容の決定にも役立ちます。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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