高齢者と自然気胸-自然気胸が疑われる際のフィジカルアセスメント-

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

呼吸についてのおすすめ記事

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。

フィジカルアセスメントにおいては、その結果や数値だけでなく、なぜその数値になるのか、またその意味を知ることで、対象者の状態像の理解に役立ちます。

今回は、高齢者と自然気胸において自然気胸が疑われる際のフィジカルアセスメントについてまとめて行きたいと思います。

気胸とは

気胸は、肺から空気がもれて、空気が胸腔にたまっている状態です。

空気が漏れてたまっても、胸は肋骨で囲まれているため、外側に膨らむことは困難です。

膨らむことができないため、空気が肺を押しこみ肺が小さくなります。

肺から空気がもれて、結果的に肺が小さくなった状態と言えます。

自然気胸とは

自然気胸とは、明らかな理由もなく発生する気胸の事を言います。

自然気胸では肺に穴があき、一時的に空気が漏れます。

しかし、自然気胸の多くはすぐに閉じ、漏れた空気は血液に溶け込み次第に消失します。

その一方で、肺に空いた穴がふさがらず、空気が漏れ続けるときがあり、また、再発を起こすこともあります。

高齢者と自然気胸

気胸は、従来はやせ型で若い男性に多い病気とされてきましたが、近年では高齢者にも増えてきています。

高齢者で喫煙歴がある人には、肺気腫が多くみられます。

肺気腫の進行により、肺がパンクして自然気胸になることがあります。

もともと肺機能低下がある場合、肺がパンクすると重症な自然気胸を生じやすくなります。

また、同時に肺の癒着があることも多く、治療が困難になることもあります。

自然気胸が疑われる場合のフィジカルアセスメント

聴診

自然気胸における聴診では、肺音の左右差や減弱が内科を確認します。

打診

打診では、胸部打診により鼓音の有無を確認します。

打診は、空気の含有量により音の振幅が異なることを利用しています。

鼓音は、「トントン」という振幅が大きく太鼓を叩いた時のような音が聴取できます。

鼓音が聞かれるということは内部に空気が貯留している事を示しています。

座位の際は上肺野、立位の際は前胸部における鼓音の有無を確認します。

打診では、左手中指のPIPからDIP関節部分を体につけ、PIP関節部分を右手中指で右手首のスナップを効かせて一定の強さで叩打します。

皮下気腫の確認

頸部や胸部に皮下気腫がないかを確認します。

もれた空気が皮下組織にたまるのが皮下気腫です。

頸部や胸部に空気がたまり、そこがふくらんで強い疼痛があります。

触診では雪をにぎったようなサクサクとした感じ(握雪感)がします。

皮下気腫がある部分をマーキングし、サイズの変化を追って確認することが必要です。

皮下気腫が増悪して頭頸部に及ぶと、鼻声や複視、嚥下障害が出現することがあります。

疼痛や呼吸苦、静脈還流障害が出現することがあるため注意が必要です。

緊張性気胸の疑いはないか

緊張性気胸は、患側の胸腔内圧が異常に上昇した結果、患側肺虚脱、横隔膜低位、健側への縦隔偏位、静脈還流障害による心拍出量の低下などをきたしている状態です。

放置すると血圧低下、閉塞性ショックなどの重篤な状態を招くことがあります。

フィジカルアセスメントでは、頸静脈怒張、頸部の気管の偏位、血圧低下がないかを確認する必要があります。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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