看護・リハも知っておきたい自然気胸の胸部X線画像の特徴と読み方

                     
        
                   
        
                   
      
       

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胸部X線や胸部CTについてのおすすめ記事

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。

病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。

また対象者の画像情報からも、フィジカルアセスメントと一致した初見が見られないかなど、有用な情報を得ることが可能になります。

今回、看護・リハも知っておきたい自然気胸の胸部X線画像の特徴と読み方についてまとめていきたいと思います。

気胸とは

気胸は、肺から空気がもれて、空気が胸腔にたまっている状態です。

空気が漏れてたまっても、胸は肋骨で囲まれているため、外側に膨らむことは困難です。

膨らむことができないため、空気が肺を押しこみ肺が小さくなります。

肺から空気がもれて、結果的に肺が小さくなった状態と言えます。

自然気胸とは

自然気胸とは、明らかな理由もなく発生する気胸の事を言います。

自然気胸では肺に穴があき、一時的に空気が漏れます。

しかし、自然気胸の多くはすぐに閉じ、漏れた空気は血液に溶け込み次第に消失します。

その一方で、肺に空いた穴がふさがらず、空気が漏れ続けるときがあり、また、再発を起こすこともあります。

自然気胸の胸部X線画像の特徴と読み方

肺の虚脱初見

自然気胸が認められる場合の胸部X線画像の特徴について解説します。

一つ目は、肺の虚脱初見です。

肺の虚脱とは、肺組織内に空気が入っていない状態の事をさします。

気胸(肺虚脱)の程度
https://www.skgh.jp/department/respiratory-surgery/pneumothorax/より引用

上図は、自然気胸の重症度別の肺虚脱の特徴を示しています。

軽度(Ⅰ度)虚脱肺の肺尖(肺のてっぺん)部が鎖骨陰影より頭側にある
中等度(Ⅱ度)Ⅰ度とⅢ度の中間の虚脱
虚脱肺の肺尖部が鎖骨陰影より下(足)側にある
高度(Ⅲ度)完全虚脱またはこれに近いもの(50%以上の虚脱)

1度気胸では、肺の先端が鎖骨でとどまっている状態です。

https://www.nms.ac.jp/kosugi-h/section/respiratory/guide.htmlより引用

2度気胸では、肺の先端が鎖骨より下に落ち込んでいる状態です。

https://www.nms.ac.jp/kosugi-h/section/respiratory/guide.htmlより引用

3度気胸では、肺が完全に虚脱している状態です。

https://www.nms.ac.jp/kosugi-h/section/respiratory/guide.htmlより引用

最大吸気時と最大呼気時の違い

胸部X線画像において、最大呼気時には肺は一番拡張しやすい状態です。

一方、最大吸気時には肺は一番収縮(虚脱)しやすい状態で、気胸を判別しやすくなります。

撮影肢位よる違い

臥位で撮影をすると、腹側前胸部に空気が溜まりやすくなります。

これは、横隔膜直上に空気が溜まりやすくなる事に繋がります。

このことから肺尖部だけでなく、横隔膜直上付近の空気の貯留がないかを確認することが重要です。

臥位での撮影では、下図のように横隔膜の切れ込みが深く見える(Deep Sulcus Sign)事に注意して確認するようにします。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmicm1105315より引用
                     
        
                   
        
                   
      
       

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