看護・リハ職が知っておきたい心不全の治療内容の考え方

                     
        
                   
        
                   
      
       

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リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。

病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。

さらに、医者の治療方針や治療内容を理解することで、病態理解につながり、リスク管理を行いやすくなります。

今回、看護・リハ職が知っておきたい心不全の治療内容の考え方についてまとめていきたいと思います。

心不全について

心不全は、以下のように定義されています。

なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

これはどういうことかと言うと、「心臓のポンプ機能」、すなわち血液を送り出す働きと血液を受け取る働きがなんらかの原因で破綻することで起こります。

これにより、全身組織に必要な血液量(心拍出量)を送り出すことができない状態に陥ります。

心拍出量に影響を与える要因

心拍出量に影響を与えるものとして、4つの要因を考えていきます。

前負荷

前負荷とは、収縮直前の状態で加えられる負荷のことで、拡張末期の壁応力を指します。

すなわち、収縮開始前に心臓にかかる負荷で、全身から心臓に戻る血液量で表されます。

前負荷を表す指標として、心室拡張末期容積、心室拡張末期圧、右房圧があります。

全身から心臓に戻る血液量が多くなればなるほど、心臓には負担がかかっているという事を示しています。

前負荷に影響を与える因子を以下に挙げます。

•循環血液量
 減少:出血、脱水
 増加:輸液過剰、腎不全、塩分過剰摂取など
•体内血液分布
 体静脈トーヌス(交感神経緊張)
•静脈潅流量
 骨格筋ポンプ(運動)、胸腔内圧(呼吸)
•左室コンプライアンス
 心室壁特性(肥大、線維化、虚血)
 心膜疾患(心タンポナーデ、収縮性心膜炎)
 右室の影響

後負荷

後負荷とは、心筋短縮(血液駆出)開始後に心筋にかかる負荷の事を指します。

心臓から血液が拍出される際に、抵抗が大きくなると負荷になります。

後負荷に影響を与える因子を以下に挙げます。

•末梢血管抵抗
 交感神経緊張、高血圧症、血管拡張薬
•動脈コンプライアンス
 加齢、人工血管
•大動脈部分狭窄
 大動脈弁狭窄、大動脈縮窄
•血液粘稠度
 ヘマトクリット上昇
•胸腔内圧
 心室壁の貫壁圧を下げる

収縮力

収縮力とは、心臓が収縮する力の能力を指します。

注意点として、収縮能力があっても、十分な拡張能力がなければ心拍出量は低下します。

心筋梗塞などで心筋がダメージを受けると、収縮機能は低下しやすくなります(代償機能は働くが、呼び力としては物足りなくなる)。

心拍数

心拍数の増減により、心拍出量は変化します。

心拍数が多すぎても少なすぎても拍出量は保てなくなります。

例えば、心房細動があると心拍数が上昇します。

すると心房→心室に血液を送り、心室に満たされる血液量が少なくなります(血液が満たされるための時間確保が困難になる)。

これにより心拍出量が減少し、結果として血圧が低下しやすくなります。

またことのことは心不全にも繋がります。

心不全治療の考え方

心不全では、急性期と慢性期における管理を考える事が重要です。

急性期管理では、症状が観察できて、比較的すぐに良くできる治療が中心となります。

観察できる症状、すなわち右心不全(全身うっ血)と左心不全(肺うっ血)、血流低下に伴う症状です。

心不全の症状

右心不全(全身うっ血)では、

浮腫
腹水
肝腫大
腸管浮腫による
食欲不振

などが見られます。

左心不全(肺うっ血)では、

・呼吸困難
・咳
・肺水腫

などが見られます。

血流低下に伴う症状では、

・尿量低下
・チアノーゼ
・倦怠感
・四肢冷感
・消化不良

などが見られます。

前負荷の軽減と薬物療法

前負荷の軽減としては、

・静脈の拡張による静脈還流量の低下
・アルドステロン分泌減少による体液量低下
・利尿作用による循環血液量低下

があります。

前負荷軽減のために、薬物療法として、

・利尿薬
・硝酸薬(血管拡張薬)

が用いられます。

後負荷の軽減と薬物療法

後負荷の軽減としては、

・血管拡張作用(細動脈の拡張)による末梢血管抵抗の低下

があります。

後負荷軽減のために、薬物療法として、

・血管拡張薬

があります。

心筋収縮力の増強と薬物療法

心筋収縮力の増強としては、

・心筋細胞内のCa2+濃度上昇による強心作用

があります。

心筋収縮力のために、薬物療法として、

・強心薬

があります。

心臓ポンプ駆動数やリズムの適正化と治療

心拍数(心臓ポンプ駆動数やリズムの適正化)として、

・ペースメーカ
・除細動
・ジギタリス、抗不整脈薬

があります。

長期予後の改善と薬物療法

慢性期管理では、症状としては観察できない、長期予後を考えた治療になります。

長期予後の改善のために、薬物療法として、

・ACE阻害薬/ARB
・β遮断薬
・抗アルドステロン薬

があります。

これらの薬は降圧剤に分類されますが、心不全の治療のため使用しているケースもあるため、必ずしも降圧効果を期待しているのではないことに留意しておく必要があります。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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