目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。
フィジカルアセスメントにおいては、その結果や数値だけでなく、なぜその数値になるのか、またその意味を知ることで、対象者の状態像の理解に役立ちます。
今回は、看護・リハも知っておきたいCO2ナルコーシスの評価と酸素療法での対応についてまとめて行きたいと思います。
呼吸中枢と呼吸調節
呼吸中枢
呼吸中枢は、「延髄」にあります。
大脳皮質から、
・興奮
・驚き
・ため息
・息切れ
・息を止める
などの情報が、延髄の呼吸中枢に入力されます。
これは、意識的な呼吸の調整であり、随意的な調節と呼ばれています。
中枢化学受容体
延髄には「化学受容体」からの情報も入力されます。
一つ目は、延髄にある中枢化学受容体です。
中枢化学受容体では、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の変化を感知します。
二酸化炭素は酸性物質なので、体内が酸性に傾いたことを感知するという事になります。
抹消化学受容体
2つ目は、頸動脈の頸動脈小体と大動脈弓の大動脈小体にある末梢化学受容体です。
抹消化学受容体では、動脈血酸素分圧(PaO2)の変化を感知します。
体内の酸素が少なくなっていることを感知するという事になります。
通常の状態では中枢化学受容体が呼吸を調節し、生命危機となる位に酸素化が低下した場合、抹消化学受容器が反応します。
肺胞の伸展受容器
「肺胞の伸展受容器」は、吸息と呼息のスイッチングの役割(呼吸運動の調節)があります。
肺胞の伸展受容器では、吸息により肺が十分に伸展された情報を入力し、呼吸に関連する横隔膜や呼吸筋に指令を出して呼吸調節をします。
呼吸筋には、
・横隔膜
・内肋間筋
・外肋間筋
・胸鎖乳突筋
・前斜角筋
・中斜角筋
・後斜角筋
・腹直筋
・内腹斜筋
・外腹斜筋
・腹横筋
があります。
CO2ナルコーシスとは
CO2ナルコーシスとは、高炭酸ガス血症によって、意識障害などの中枢神経症状を呈している病態を言います。
CO2ナルコーシスはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などにより、慢性的に二酸化炭素が貯留した方に生じます。
CO2ナルコーシスが生じる仕組み
呼吸抑制と交感・副交感神経の関係性
通常、覚醒中は交感神経>副交感神経で優位になり、入眠後は副交感神経>交感神経で優位になります。
入眠後は交感神経による刺激は低下するので、呼吸は抑制されやすい状態になります。
酸素投与と呼吸抑制
呼吸不全の分類の「Ⅱ型呼吸不全」は、肺胞低換気を背景としたものです。
COPDはⅡ型呼吸不全に分類されており、二酸化炭素分圧が高い状態にあります。
そして、COPDが慢性化している方は、低換気状態に慣れてしまっている状態です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、高炭酸ガス血症が慢性化していたり、肺胞の気腫性病変が存在したりしています。
高炭酸ガス血症の慢性化は、中枢化学受容体における、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の変化の感知が鈍化します。
また、肺胞の伸展受容器においては、肺胞壁の破壊により肺胞の弾力性が低下するとその活動が低下します。
COPDの方では抹消化学受容体による、動脈血酸素分圧(PaO2)の変化の感知を中心に呼吸調節を行わなければならない状態になります。
そのような状態で、低酸素を感知して呼吸刺激される所に高濃度の酸素を投与すると、延髄の呼吸中枢は「楽に呼吸ができる」と認識することで呼吸刺激がなされなくなってしまいます。
すると、体内に二酸化炭素がどんどんと溜まってしまい、意識がなくなったり、自発呼吸を減弱させます。(CO2ナルコーシスの状態)。
CO2ナルコーシスの評価と酸素療法でのモニタリング
COPDでは、高炭酸ガス血症が慢性化していることは前途しました。
そのような対象者の方ではあらかじめ血液ガス測定を行い状態を確認する事が必要です。
酸素療法は低濃度から投与し、徐々に吸入酸素濃度を増量することが大原則です。
その際、CO2ナルコーシスの症状を把握しておくと、モニタリングが行いやすくなります。
CO2ナルコーシスの症状ですが、初期には、
・呼吸切迫
・頻脈
・発汗
・頭痛
・羽ばたき振戦
などが見られます。
これらの神経症状の出現に注意しながら酸素療法を行います。
また主症状である、
・意識障害
・高度の呼吸性アシドーシス
・自発呼吸の減弱
などが出現していないかを確認していくことが重要です。
他にも、呼吸中枢を抑制するような作用のある薬剤(鎮痛薬や睡眠薬など)の投与による呼吸抑制(換気量低下)での低酸素血症にも注意を払う必要があります。
COPDとCO2ナルコーシスについては以下の記事も参照してください。
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