看護・リハも知っておきたい胸水貯留の胸部X線画像の特徴と読み方

                     
        
                   
        
                   
      
       

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胸部X線や胸部CTについてのおすすめ記事

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。

病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。

また対象者の画像情報からも、フィジカルアセスメントと一致した初見が見られないかなど、有用な情報を得ることが可能になります。

今回、看護・リハも知っておきたい胸水貯留の胸部X線画像の特徴と読み方についてまとめていきたいと思います。

胸水とは

胸水は胸膜(肺の周りに肺を包み込むように被さっている膜)の中に水が貯留する現象です。

胸水は正常でも少量程存在し、胸膜がこすれない様に潤滑液としての役割を果たしています。

胸水は、壁側胸膜から産生され、臓側胸膜から吸収されることにより、一定の量を保血ますが、何らかの原因でこのバランスが崩れると胸水が貯まります。

一方で、肺水腫は、肺の中に水が貯留する現象です。

病態が異なるため、定義を理解しておくようにしてください。

胸水がたまる原因

胸水は、滲出性胸水と漏出性胸水に分類されています。

滲出性胸水は肺炎、感染、腫瘍、膠原病性胸膜炎などで確認されます。

滲出性胸水は、通常は片側のみに見られます。

漏出性胸水は、心疾患(心不全)、肝疾患、腎疾患などで確認されます。

漏出性胸水は、通常は両側に見られます。

胸水が溜まりやすい場所としては、背部の下肺野になります。

滲出性漏出性
場所片側両側
原因肺炎、感染、腫瘍、
膠原病性胸膜炎など
心疾患(心不全)肝疾患、腎疾患など

胸水がたまるとどのような症状が出現するか

胸水貯留で見られる症状としては、

・胸の違和感
・咳
・息苦しさ(胸水の量が増えると生じる)

が代表的です。

しかしながら、胸水貯留が少量の場合や、貯留速度がゆっくりとしている場合は、無症状で経過する場合があるため注意が必要です。

身体所見としては、

・呼吸音減弱
・打診で濁音

が認められます。

胸水貯留の胸部X線画像の特徴と読み方

胸水貯留が認められる場合の胸部X線画像の特徴について解説します。

胸部X線を確認する場合、立位・座位と臥位では写り方に違いが現れます。

立位・座位では肋骨横隔膜角が鈍化します

半座位・仰臥位では肺野全体の透過性が低下します。

これは、胸水が胸腔背側に層状に溜まっている事が反映されているためです。

ポータブル写真のように仰臥位で撮るときは、胸水が胸腔背側に溜まります。

下図は、正常な胸部X線画像における肋骨横隔膜角の場所を示しています。

https://jata.or.jp/rit/rj/369-16.pdfより引用改変

ここで、胸水貯留が見られる場合の胸部X線画像を確認していきます。

https://radiographica.com/capillarity/より引用改変

上図では、右の肋骨横隔膜角が、左側の角度に比べて鈍化しているのがわかります。

胸水貯留の確認として胸部X線画像は用いられますが、実際にはエコーの方がはるかに有用だとも言われているため

胸部X線画像の有用性は限定的だとされています。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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