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加齢による変化
年齢を重ねると、心身機能の状態は徐々に変化します。
この変化は血液データにも反映され、通常の検査値の基準範囲に収まらないこともしばしばあります。
そのため、加齢による心身機能の変化を理解し、それに伴う検査数値の変化についても学んでおく必要があります。
今回、加齢による腎機能と検査値の変化についてまとめていきたいと思います。
腎臓の4つの機能
腎臓の機能は主に4つあります。
一つ目は、尿を生成することにより、体液の量と組成の調節を行います。
二つ目は、体内での酸と塩基のバランスの調節を行います。
三つ目は、尿素やクレアチニンなどを体外に排出する(代謝産物の排泄)役割があります。
四つ目は、ホルモンの産生・調節の役割があります。
体液の量と組成の調節、酸と塩基のバランスの調節、代謝産物の排泄は、尿生成や排泄によりその機能が果たされます。
このような腎臓の働きにより、体の体液の恒常性を維持しています。
腎臓と尿生成
腎臓では、大量の血液が「糸球体」に流れ込みます。
糸球体がフィルターの役割を果たし、尿の元になる「原尿」が作られます。
原尿は1日におおよそ140L作られますが、「尿細管」を通る事で、99%の水が再吸収され、尿は濃縮されておおよそ1.4Lの尿となり、体外に排出されます。
その際、必要なもを再吸収、不必要なもの(老廃物)は体外に排出されます。
加齢による腎機能の変化
糸球体や尿細管の減少とCr(クレアチニン)や尿素窒素(UN)
加齢により、前途した糸球体や尿細管の数が減少します。
すると、老廃物の排出が不十分になります。
老廃物というのは、Cr(クレアチニン)や尿素窒素(UN)です。
Cr(クレアチニン)や尿素窒素(UN)は、血液データにも反映されるのですが、腎機能の低下によりその数値は上昇します。
ここで注意しておきたいのは、Crは筋肉量に影響を受け(筋肉量が多いとCr値が高くなる)、UNはタンパク質摂取や手術後の腸の出血や脱水により上昇します。
リスク管理の面では、老廃物排出機能の低下は、薬物療法を行なった際の、効果が過剰になったり、副作用の出現率が高くなることが予測されます。
腎機能低下とeGFR
Cr(クレアチニン)や尿素窒素(UN)が体外に排出できなくなると、eGFR(推算糸球体濾過量)の値が低下します。
これは、クリアランスと呼ばれる、どれだけ効率的に体外に老廃物を出すことができるかを示しています。
尿の濃縮・希釈力の低下
前途したように腎臓では尿が作られますが、この時99%の水が再吸収され、尿は濃縮されておおよそ1.4Lの尿となります。
これは、尿が「濃縮」されているということになります。
尿の濃縮により、身体内部の水分量の調整を行っています。
身体内部の水分量が少ない場合、体外に排出する尿量を低下させます(濃縮)。
逆に、身体内部の水分量が多い場合、体外に排出する尿量を増加させます。(希釈)。
加齢により尿の濃縮・希釈機能が低下すると、水分量のコントロールが難しくなり、「脱水」や「浮腫」につながることがあります。
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