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リスク管理と血液データ
リスク管理においては、対象者の状態をアセスメントすることが必要です。
この時、フィジカルアセスメントに加えて、血液データを参照することにより、対象者の状態をより詳細に捉えることにつながります。
血液データの項目には様々なものがありますが、タンパク質代謝に関するものとしては、「Alb」「TP」「A/G比」を参考にすることが必要です。
今回、高齢者とタンパク質代謝に関する検査値についてまとめていきたいと思います。
Alb(アルブミン)の血液データの捉え方
Alb(アルブミン)は、低栄養状態の指標の一つです。
アルブミンはタンパク質の約6割を占める重要な蛋白です。
アルブミンは血液中の蛋白で最も多い量を占めています。
血清アルブミン値を参照する場合、一つ注意しておきたいことがあります。
それは、「半減期」を考えることです。
半減期とは、血中の濃度が半分に減るまでの期間のことです。
アルブミンの場合、半減期が 14~21 日と長いことが特徴です。
そのため、血清アルブミン値を参照する際には、約3週間前の栄養状態を反映しているということを頭に入れておく必要があります。
なお、アルブミンの正常値は4.0g/dl以上で、3.5g/dl以下を「低栄養」状態としています。
高齢者においては、単に栄養状態の低下だけではなく、いかに示すような事も考慮する必要があります。
・肝臓疾患による肝臓でのアルブミン合成能の低下
・ネフローゼ症候群や糸球体腎炎、タンパク漏出性胃腸炎、出血、外傷などに伴なうアルブミンの体外への喪失・漏
出
・感染症や慢性消耗性疾患などに伴う異化亢進状態
血液データから、低アルブミン血症状を捉える場合、これらの事が背景にないかを考慮する事も必要です。
TP(血中総タンパク)の血液データの捉え方
高齢者においては、TP(血中総タンパク)の値の低下は、Alb(アルブミン)と比較し軽度との報告があります。
TP(血中総タンパク)値は、生活習慣の差による、生理的変動の個人差として捉える必要があります。
そのため、基準値と比較するよりも、個人における数値にどの程度変化があるのかを追っていくことに意味があります。
A/G比(血中アルブミン/グログリン比)の血液データの捉え方
一般的に、高齢者においては「免疫グロブリンM(igM)」は低下しますが、「免疫グロブリンG(igG)」「免疫グロブリンA(igA)」は増加しやすくなります。
上記のことから、アルブミンとグロブリンの量の比率を示す「A/G比(血中アルブミン/グログリン比)」は低下しやすくなります。
TP(血中総タンパク)値が正常範囲でも、A/G比(血中アルブミン/グログリン比)が基準値を外れている場合は注意が必要になります。
A/G比(血中アルブミン/グログリン比)が基準値を下回っている場合、栄養不良状態の他に、肝疾患や腎疾患、骨髄腫や悪性腫瘍などを疑う必要があります。
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