目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。
フィジカルアセスメントにおいては、その数値だけでなく、なぜその数値になるのか、またその意味を知ることで、対象者の状態像の理解に役立ちます。
今回は、心機能低下とBNPとして、日常生活ケアでのモニタリング方法についてまとめて行きたいと思います。
心不全とは
心不全は、以下のように定義されています。
なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
これはどういうことかと言うと、「心臓のポンプ機能」、すなわち血液を送り出す働きと血液を受け取る働きがなんらかの原因で破綻することで起こります。
これにより、全身組織に必要な血液量(心拍出量)を送り出すことができない状態に陥ります。
心不全と血液のうっ滞
心不全では、心臓のポンプ機能の低下により血液が心臓にうっ滞します。
心臓に血液がうっ滞すると、心臓の筋肉に圧がかかり、心室の心筋細胞により「ProBNP」が産生されます。
その後、生物学的活性活性(その物質が生体に機能的な変化をもたらすはたらき)がある「BNP」と、活性をもたない「NT-proBNP」に切断されます。
BNPには2つの作用があります。
・血管拡張
・利尿作用
です。
この血管拡張と利尿作用は、心不全の治療薬としても用いられている作用で、心臓の負担を軽減させる働きがあります。
すなわち、心臓の負担が大きくなるほど、BNPの産生が多くなり、BNPは高値となります。
心不全とBNPの値
BNPは、血液データから参照可能であり、心不全の存在を確認するのに便利です。
BNPで覚えておきたい値は、「100」「200」です。
BNPが100未満であれば、心不全とは考えにくいであろうと診断される事が多いです。
BNPが100以上の場合、心不全だと断言はできません。
BNPが100以上では、治療対象となる心不全の可能性があるため、精査が必要な状態になります。
BNPが200未満の場合、心不全がある程度管理できていると判断されます。
心不全とNT-proBNP
NT-proBNPは、BNPの値の4倍、すなわち、心不全が存在するかどうかの診断閾値としては「400」というのを覚えておくと臨床上簡便にデータ参照できると考えられます。
BNP値が変化する要因
BNPの値は、加齢による変化を受けます。
高齢の方ではBNPの濃度が上昇するため、検査値も上昇します。
他にも、BNP値は心房細動や腎機能不全によっても上昇する可能性があります。
心房細動がある方では、同調律の方よりもBNP値が100pg/mL上昇するとの報告や、eGFR(推算糸球体濾過量;腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示す)<60mL/mim程度の腎機能障害においても、BNP値の診断基準を2倍程度に引き上げることが推奨されています。
心不全と日常生活ケアでのモニタリング方法
BNPは様々な要素を含み、その解釈には複雑さがあります。
そこで、心不全における日常生活ケアでのモニタリング方法として、以下の2つが簡便に実施可能です。
・体重測定
・頸静脈怒張
体重に関しては、うっ血の指標として、1週間に2-3kgの体重増加があると心不全の増悪が考えられます。
しかしながら、すべての例に体重増加が認められる訳ではありません。
そこで、フィジカルアセスメントとして簡便に評価できるのが「頸静脈」になります。
心不全に特異的な血管内うっ血の指標として、「頸静脈怒張」を確認します。
頸静脈怒張のアセスメント
頸静脈怒張のアセスメントの簡便な行い方としては、内頸静脈が座位や立位において怒張することですが、観察上は「皮膚の揺れ」として認識できます。
正確なアセスメントとしては、45度の半座位とし、胸骨角から床に垂直に定規を立てて、頸静脈怒張の上端(拍動の位置)までの高さを測定します。
異常な場合は、4cmを超えた場合で、原因としてはうっ血性心不全や心タンポナーデなどが考えられます。
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