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リスク管理と血液データ
リスク管理においては、対象者の状態をアセスメントすることが必要です。
この時、フィジカルアセスメントに加えて、血液データを参照することにより、対象者の状態をより詳細に捉えることにつながります。
血液データの項目には様々なものがありますが、静脈血栓塞栓症では、「Dダイマー」を参考にすることが必須です。
今回、血液データアセスメントとして、Dダイマーと静脈血栓塞栓症についてまとめていきたいと思います。
静脈血栓塞栓症とは
静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)は、深部静脈血栓症(deep venous thrombosis:DVT)と、肺動脈血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)を総称したものです。
静脈血栓塞栓症は、本来止血のための血液凝固反応が、血管内で生じ、静脈を閉塞させ血栓症となります。
深部静脈血栓症は、下肢や骨盤の深部静脈に血栓が生じるものです。
深部静脈血栓症は、患側下肢の痛みや腫れ、皮膚が赤く変色することが特徴です。
肺動脈血栓塞栓症は、血栓が剥がれて肺動脈を閉塞したことで起きる病態です。
肺動脈血栓塞栓症は、閉塞の程度にもよりますが、呼吸困難、胸痛、ショック、突然死に至ることもあることが特徴です。
静脈血栓塞栓症とDダイマー
静脈血栓塞栓症の確定診断には、超音波検査や造影CTなどの画像検査が行われます。
基本的に、静脈血栓塞栓症が強く疑われる場合は画像検査が行われますが、そう出ない場合は、血液データの「Dダイマー」を確認し、画像検査の必要性を判断することになります。
Dダイマーとは
血液凝固反応と血栓
血栓が生じる部位では、血液凝固反応が過度に高まっている状態にあります。
通常レベルでの血液凝固反応のコントロールができなくなると、「トロンビン」が大量に産生されます。
トロンビンは血小板の活性化と、フィブリノゲン→フィブリンを生成します。
これらの反応により、血栓が生じます。
線維素溶解反応(線溶反応)
血栓が形成されると、ほぼ同じタイミングで血栓を分解しようとする作用が生じます。
この作用を、線維素溶解反応(線溶反応)と呼びます。
線維素溶解反応(線溶反応)では、tPA(組織プラスミノゲンアクチベーター)によりプラスミノゲン→プラスミンに変換されます。
このプラスミンにより、フィブリンが分解されます。
Dダイマーとは
Dダイマーは、フィブリンがプラスミンに分解されることで生じる血液中の成分です。
Dダイマーの増加は、凝固反応により血栓が形成され、かつ線溶反応により血栓が分解されたことを表しています。
凝固反応、線溶反応のどちらかが欠けていると、Dダイマー増加は見られません。
Dダイマーの基準値は、1.0μg/ml以下です。
静脈血栓塞栓症が確認された場合の注意点
深部静脈血栓症などが確認された(もしくは疑われる)場合、離床により肺塞栓を生じさせるリスクが高くなります。
そのため、身体所見や病態評価から、血栓症のリスクを確認する必要があります。
血栓症が確認された場合、基本的には抗凝固療法が行われます。
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