目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
今回、酸素化と換気の違いと呼吸不全の分類についてまとめていきたいと思います。
酸素化と換気
一言で呼吸と言っても、「酸素化」と「換気」は別物で考えた方が、評価をするという点においては有効です。
「酸素化」とは、酸素が血液に取り込まれることです。
酸素化の指標として、PaO2 60mmHg以上(SpO2 90%以上)を目標とします。
「換気」とは、血液がCO2を肺胞に放出し、それが呼吸によって体の外に出されることです。
換気の指標としては、PaCO2がありますが、PaCO2の蓄積によって生じる体内の酸性化(呼吸性アシドーシス)の指標であるPHを確認することが大切です。
呼吸不全の分類
呼吸不全とは
呼吸不全とは、室内気吸入時にPaO2(動脈血酸素分圧)が60mmHg以下になる状態です。
呼吸不全は急性呼吸不全と慢性呼吸不全に分類されています。
急性に発症した1ヶ月以内の呼吸不全を急性呼吸不全と言います。
呼吸不全が1ヶ月以上継続しているものを慢性呼吸不全と言います。
呼吸不全の病態と原因
呼吸不全をきたす病態と原因は、4つに分けられています。
・換気血流不均等
・拡散障害
・シャント(右→左)
・肺胞低換気
換気血流不均等
換気血流不均等という病態は、肺胞の換気量と肺胞血流比との不均等が生じている状態です。
換気量の減少した肺胞は、毛細血管を流れている血液を十分に酸素化することができなくなっています。
換気血流不均等が生じる原因としては、気道障害、間質障害、肺胞障害、肺循環障害があります。
疾患としては、喘息発作、肺炎、肺水腫、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、痰の貯留、肺塞栓症などで確認されます。
拡散障害
拡散障害という病態は、肺胞壁でのガス交換の低下が生じている状態です。
肺胞毛細血管膜が厚くなったり、間質に水分が貯留したりすることで、肺胞内の酸素・二酸化炭素が通過できず、ガス交換が出来なくなります。
拡散障害が生じる原因としては、肺胞膜の障害、肺胞面積の減少などがあります。
疾患としては、間質性肺炎や肺水腫で確認されます。
シャント(右→左)
シャント(右→左)という病態は、右室を出た静脈血液が酸素化されずに左心系に流入している状態です。
肺胞内のガスと肺胞毛細血管を流れる静脈血が接触せず、ガス交換をしないまま心臓に還流されています。
シャント(右→左)が生じる原因としては、肺動静脈瘻、心内シャント、無気肺、肺胞毛細血管の拡張などがあります。
疾患としては、心疾患や肺動静脈奇形などの解剖学的異常、無気肺などで確認されます。
肺胞低換気
肺胞低換気という病態は、肺胞換気量の低下が生じている状態です。
肺胞内で出入りする空気が極端に減少し、体内の酸素量が少なく、二酸化炭素が多くなっている状態で、高二酸化炭素血症を伴います。
肺胞低換気が生じる原因としては、呼吸中枢の異常(呼吸抑制、麻酔、麻薬、鎮静剤、脳血管障害)、気道閉塞、神経・筋疾患、肺・胸郭・呼吸筋異常などがあります。
疾患としては、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがあります。
Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全
換気血流不均等、拡散障害、シャント(右→左)は、Ⅰ型呼吸不全に分類されており、PaO2≦60mmHg、PaCO2≦45mmHgとなっており、二酸化炭素分圧の増加を伴わないことが特徴です(酸素をうまく取り込めない)。
肺胞低換気は、Ⅱ型呼吸不全に分類されており、PaO2,≦60mmHg、PaCO2>45mmHgとなっており、酸素がうまく取り込めず、二酸化炭素の排出も困難なことが特徴になります。
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