リハビリテーションと血圧-体質性低血圧に対する対応を考える-

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

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リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。

病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。

今回、リハビリテーションと血圧として、体質性低血圧に対する対応を考えていきたいと思います。

血圧とは

簡単に説明すると、血圧は心拍出量と末梢血管抵抗の関係によって上昇・低下します。

心拍出量というのは、1分間に心臓から全身に送り出される血液の量の事です。

つまり、1回拍出量×心拍数ということになります。

末梢血管抵抗というのは、末梢血管(毛細血管)に血液が流れ込むときに受ける抵抗の事です。

これらのことから、「血圧=1回拍出量×心拍数×末梢血管抵抗」ということになります。

血圧は、拍出量(=体液量)、心拍数、血管抵抗に依存することがわかります。

血圧上昇と血圧低下

前途したように、血圧は心拍出量と末梢血管抵抗の関係により上下します。

心拍出量または末梢血管抵抗が上昇すれば血圧は上昇しますし、逆にそれらが減少すれば血圧は低下します。

血圧上昇を考えた場合、心拍出量は循環血液量増加、心拍数増加、心筋収縮力増加などにより増加します。

これらは、

・交感神経活性化
・食塩過剰摂取
・腎臓での糸球体濾過量低下
・腎臓でのナトリウム排泄障害

が関係しています。

抹消血管抵抗は、血管床の面積の減少、動脈壁の弾性低下、血液の粘性増加により増加します。

これらは、

・交感神経活性化
・レニン・アンジオテンシン活性化
・動脈硬化などによる血管壁の機能的収縮、器質的硬化性変化

が関係しています。

血圧低下を考えた場合、

・心拍出量の減少
・血管の拡張
・血液量の減少
・脳の血圧調節機構の阻害
・自律神経系の障害

が原因として考えられます。

心拍出量の低下は不整脈、心筋障害あるいは機能不全、心臓弁障害、肺浮腫などが原因となります。

血管の拡張としては、アルコール、アミトリプチリンなどの抗うつ薬、血管拡張作用のある降圧薬(カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬など)、硝酸薬、細菌感染症、熱にさらされる、神経障害(糖尿病、アミロイドーシス、脊髄損傷などによる)などが原因となります。

血液量の減少としては、下痢、利尿薬(フロセミド、ヒドロクロロチアジドなど)、多量の出血、多量の汗、多量の尿(無治療の糖尿病やアジソン病でよくみられる症状)などが原因となります。

脳の血圧調節機構の阻害としては、アルコール、抗うつ薬、メチルドパやクロニジンなどの降圧薬、バルビツール酸などが原因となります。

自律神経系の障害としては、アミロイドーシス、糖尿病、多系統萎縮症(シャイ‐ドレーガー症候群)、パーキンソン病などが原因となります。

低血圧における症状

低血圧では、

・立ちくらみ
・めまい
・朝起きにくい
・頭痛、頭重
・倦怠感、疲労感
・肩こり
・動悸
・胸痛、胸部圧迫感
・失神発作
・悪心

などの順で生じることが多くなります。

体質性低血圧とリハビリテーションでの対応

体質性低血圧は、本態性低血圧とも呼ばれています。

血圧は低いですが無症状であり、通常の生活を送れています。

体質性低血圧かどうかを把握するには、普段の血圧を情報収集しておく事が大切です。

実際に計測して血圧が低い場合、ショックの5徴候(皮膚・顔面蒼白、虚脱、冷汗、発汗、脈拍不触、脈拍徴弱、呼吸不全)の確認をします。

また、前途した低血圧時の症状の有無を確認します。

症状がなければ、バイタルサインの変化に留意しながらリハビリテーションを実施します。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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