目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
そして酸素療法においては、機器の違いや特徴、疾患や状態に応じた特徴を把握しておく事が必要になります。
今回、看護・リハも知っておきたい酸素療法の基礎として、吸気流速と低・高流量システムについてまとめていきたいと思います。
酸素療法とは
酸素療法の対象は、低酸素血症状態にある患者様になります。
酸素療法では、酸素投与により吸入気の酸素濃度を高めます。
吸気流速とは
「吸気流速」とは、分単位の吸気(吸気が肺に入ってくる)スピードのことです。
もう少し簡単に言うと、「空気を吸い込む速度」です。
成人男性では、500mℓの空気を1回の呼吸で吸い込みます。
空気を吸い込む時間を1秒とした場合、500mℓ/秒の速さとなります。
吸気流速は「ℓ/分」で表されるので、成人男性の場合、30ℓ/分の吸気流速で空気を吸っているということになります。
酸素療法では成人男性の場合、吸気流速30ℓ/分において、濃度100%の酸素を○○ℓ流すというイメージになります。
ここでは一般的な成人男性の吸気流速を例に挙げましたが、患者様の状態によって吸気流速には違いが見られます。
影響を与える因子としては以下のようなものがあります。
・年齢
・体格
・疾患や状態
そのため、吸入できる酸素濃度にも違いがあります。
酸素療法における吸気流量と酸素濃度の関係性
吸気流量は患者様の状態により異なります。
吸気流量が多いと、酸素マスク外の空気の取り込みは大きくなるので、吸入酸素濃度は薄くなります。
一方、吸気流量が少ないと、酸素マスク外の空気の取り込みが小さくなるので、吸入酸素濃度は濃くなります。
酸素療法と低・高流量システム
酸素療法において、低・高流量システムは患者様の状態に応じて使い分けられます。
低流量システム
酸素療法にける低流量システムは、
・吸気よりも低流量
・吸入酸素濃度が一定でない(できない)
事が特徴です。
機器としては、
・経鼻カニューレ
・リザーバー付き経鼻カニューレ
・簡易型酸素マスク
・リザーバーマスク
・オープンフェースマスク、オキシマスク
があります。
適応については、
・酸素濃度をしっかりと調整しなくても良い状態
⇨中等度の低酸素血症
になります。
具体的には、Ⅰ型呼吸不全の患者様になります。
Ⅰ型呼吸不全は、PaO2≦60mmHg、PaCO2≦45mmHgとなっており、二酸化炭素分圧の増加を伴わないことが特徴です(酸素をうまく取り込めない)。
低酸素のみを認めるもので、換気血流不均等、拡散障害、シャント(右→左)によるものです。
疾患名としては、肺炎、心不全、気胸、肺塞栓症などがあります。
低流量システムで投与できる酸素は最大で15ℓ/分になります(酸素濃度約60-90%)
Ⅰ型呼吸不全で低容量システムでの改善が難しければ、高流量システムに切り替えます。
高流量システム
酸素療法にける高流量システムは、
・吸気よりも高流量
・吸入酸素濃度が一定(にできる)
事が特徴です。
機器としては、
・ベンチュリーマスク
・ベンチュリーネブライザー
・ハイフローセラピー
があります。
適応については、
・Ⅱ型呼吸不全
・重症低酸素血症
になります。
Ⅱ型呼吸不全は、PaO2≦60mmHg、PaCO2>45mmHgとなっており、酸素がうまく取り込めず、二酸化炭素の排出も困難なことが特徴になります。
肺胞低換気はⅡ型呼吸不全に分類されており、疾患としては、COPDや重症低酸素を伴う肺炎などがあります。
Ⅱ型呼吸不全においても低流量システムが適応になりますが、SpO2の目標値を決めて酸素療法を行っている場合、低流量システムではコントロールしにくいこともあるため、高流量システムを用いる(酸素濃度を一定に保てる)方が安全とされています。
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