目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
今回、心不全の基礎知識として、心臓ポンプ機能と心拍出量を決める4つの因子についてまとめていきたいと思います。
心不全について
心不全は、以下のように定義されています。
なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
これはどういうことかと言うと、「心臓のポンプ機能」、すなわち血液を送り出す働きと血液を受け取る働きがなんらかの原因で破綻することで起こります。
これにより、全身組織に必要な血液量(心拍出量)を送り出すことができない状態に陥ります。
正常な心拍出量について
正常な心拍出量について、復讐をしていきます。
心拍出量(Cardiac Output: CO)というのは、「1回拍出量(Stroke volume: SV) x 心拍数(Heart Rate: HR)」で求められます。
1回で、おおよそ70mlが拍出されます。
安静時心拍数の正常回数はおよそ1分間に60〜80回だとされています。
中間の70回を便宜的に設定すると、心拍出量は1分間に約5ℓになります。
なお、心拍出量は代謝量により調節されます。
睡眠時は~10%程度減少、精神的興奮時は20-30%、妊娠で40%、激しい運動時には4-6倍にまで増量すると言われています。
心拍出量に影響を与える要因
心拍出量に影響を与えるものとして、4つの要因を考えていきます。
前負荷
前負荷とは、収縮直前の状態で加えられる負荷のことで、拡張末期の壁応力を指します。
すなわち、収縮開始前に心臓にかかる負荷で、全身から心臓に戻る血液量で表されます。
前負荷を表す指標として、心室拡張末期容積、心室拡張末期圧、右房圧があります。
全身から心臓に戻る血液量が多くなればなるほど、心臓には負担がかかっているという事を示しています。
前負荷に影響を与える因子を以下に挙げます。
•循環血液量
減少:出血、脱水
増加:輸液過剰、腎不全、塩分過剰摂取など
•体内血液分布
体静脈トーヌス(交感神経緊張)
•静脈潅流量
骨格筋ポンプ(運動)、胸腔内圧(呼吸)
•左室コンプライアンス
心室壁特性(肥大、線維化、虚血)
心膜疾患(心タンポナーデ、収縮性心膜炎)
右室の影響
後負荷
後負荷とは、心筋短縮(血液駆出)開始後に心筋にかかる負荷の事を指します。
心臓から血液が拍出される際に、抵抗が大きくなると負荷になります。
後負荷に影響を与える因子を以下に挙げます。
•末梢血管抵抗
交感神経緊張、高血圧症、血管拡張薬
•動脈コンプライアンス
加齢、人工血管
•大動脈部分狭窄
大動脈弁狭窄、大動脈縮窄
•血液粘稠度
ヘマトクリット上昇
•胸腔内圧
心室壁の貫壁圧を下げる
収縮力
収縮力とは、心臓が収縮する力の能力を指します。
注意点として、収縮能力があっても、十分な拡張能力がなければ心拍出量は低下します。
心筋梗塞などで心筋がダメージを受けると、収縮機能は低下しやすくなります(代償機能は働くが、呼び力としては物足りなくなる)。
心拍数
心拍数の増減により、心拍出量は変化します。
心拍数が多すぎても少なすぎても拍出量は保てなくなります。
例えば、心房細動があると心拍数が上昇します。
すると心房→心室に血液を送り、心室に満たされる血液量が少なくなります(血液が満たされるための時間確保が困難になる)。
これにより心拍出量が減少し、結果として血圧が低下しやすくなります。
またことのことは心不全にも繋がります。
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