呼吸困難の訴えと呼吸不全の評価のポイント

                     
        
                   
        
                   
      
       

呼吸についてのおすすめ記事

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。

病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。

今回、呼吸困難の訴えと呼吸不全の評価のポイントについてまとめていきたいと思います。

呼吸不全の分類

呼吸不全とは

呼吸不全とは、室内気吸入時にPaO2(動脈血酸素分圧)が60mmHg以下になる状態です。

呼吸不全は急性呼吸不全と慢性呼吸不全に分類されています。

急性に発症した1ヶ月以内の呼吸不全を急性呼吸不全と言います。

呼吸不全が1ヶ月以上継続しているものを慢性呼吸不全と言います。

呼吸不全の病態と原因

呼吸不全をきたす病態と原因は、4つに分けられています。

・換気血流不均等
・拡散障害
・シャント(右→左)
・肺胞低換気

換気血流不均等

換気血流不均等という病態は、肺胞の換気量と肺胞血流比との不均等が生じている状態です。

換気量の減少した肺胞は、毛細血管を流れている血液を十分に酸素化することができなくなっています。

換気血流不均等が生じる原因としては、気道障害、間質障害、肺胞障害、肺循環障害があります。

疾患としては、喘息発作、肺炎、肺水腫、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、痰の貯留、肺塞栓症などで確認されます。

拡散障害

拡散障害という病態は、肺胞壁でのガス交換の低下が生じている状態です。

肺胞毛細血管膜が厚くなったり、間質に水分が貯留したりすることで、肺胞内の酸素・二酸化炭素が通過できず、ガス交換が出来なくなります。

拡散障害が生じる原因としては、肺胞膜の障害、肺胞面積の減少などがあります。

疾患としては、間質性肺炎や肺水腫で確認されます。

シャント(右→左)

シャント(右→左)という病態は、右室を出た静脈血液が酸素化されずに左心系に流入している状態です。

肺胞内のガスと肺胞毛細血管を流れる静脈血が接触せず、ガス交換をしないまま心臓に還流されています。

シャント(右→左)が生じる原因としては、肺動静脈瘻、心内シャント、無気肺、肺胞毛細血管の拡張などがあります。

疾患としては、心疾患や肺動静脈奇形などの解剖学的異常、無気肺などで確認されます。

肺胞低換気

肺胞低換気という病態は、肺胞換気量の低下が生じている状態です。

肺胞内で出入りする空気が極端に減少し、体内の酸素量が少なく、二酸化炭素が多くなっている状態で、高二酸化炭素血症を伴います。

肺胞低換気が生じる原因としては、呼吸中枢の異常(呼吸抑制、麻酔、麻薬、鎮静剤、脳血管障害)、気道閉塞、神経・筋疾患、肺・胸郭・呼吸筋異常などがあります。

疾患としては、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがあります。

Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全

換気血流不均等、拡散障害、シャント(右→左)は、Ⅰ型呼吸不全に分類されており、PaO2≦60mmHg、PaCO2≦45mmHgとなっており、二酸化炭素分圧の増加を伴わないことが特徴です(酸素をうまく取り込めない)。

肺胞低換気は、Ⅱ型呼吸不全に分類されており、PaO2,≦60mmHg、PaCO2>45mmHgとなっており、酸素がうまく取り込めず、二酸化炭素の排出も困難なことが特徴になります。

呼吸不全の評価項目と注意点

呼吸困難の訴えがあれば、まず以下の評価項目を確認しながら、緊急性があるかどうかを確認する必要があります。

呼吸状態の評価のポイント

呼吸状態については、

・発生の有無
・呼吸回数
・呼吸運動
・呼吸パターン
・呼吸音

などを確認します。

声かけにより発生ができない場合、気道閉塞を考える必要があり、その場合吸引が必要になります。

低酸素血症があると頻呼吸となります。

また、呼吸補助筋を使用した努力呼吸になっていないかを確認します。

呼吸補助筋を使用する場合、通常は重症になるほど下から上に症状が出現します。

そのため、剣状突起周辺や肋間の陥没がないか、頸部周辺の陥没がないかを確認します。

末梢循環状態の評価

末梢循環状態については、

・皮膚の蒼白
・チアノーゼ
・発汗
・冷感
・温感
・橈骨動脈の触知
・脈拍数

などを確認します。

チアノーゼとは、血液中の酸素の不足が原因で、皮膚が青っぽく変色する状態です。

チアノーゼでは身体の中心部、特に口唇部のチアノーゼ出現の有無を確認します。

動脈の触知については、触知する動脈ごとに血圧の予測が可能になります。

一番身近な橈骨動脈は、触知できると80mmHgとなります。

頸動脈触知可能な場合は60mmHg、大腿動脈触知可能な場合は70mmHgとなります。

低酸素血症では、代償として頻脈となり、血圧が上昇する事が多くあります。

さらに、交感神経優位となるので脈拍数の増加や血圧上昇が考えられます。

血圧上昇については以下の記事も参照してください。

注意しておきたいポイントとして、「β遮断薬」の服用者は、交感神経抑制により脈拍数が増加しにくくなります。

外見・意識状態の評価

外見や意識状態については、

・表情
・反応
・姿勢

などを確認します。

低酸素血症ではその程度により意識状態の低下が確認されます。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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