血圧測定で注意したい脈圧を知ることの意義

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

血圧については以下の記事も参照してください

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。

フィジカルアセスメントにおいては、その数値だけでなく、なぜその数値になるのか、またその意味を知ることで、対象者の状態像の理解に役立ちます。

今回は、リスク管理のコツとして、血圧測定で注意したい脈圧を知ることの意義についてまとめて行きたいと思います。

血圧について(心拍出量と抹消血管抵抗)

簡単に説明すると、血圧は心拍出量と末梢血管抵抗により影響されます

心拍出量というのは、1分間に心臓から全身に送り出される血液の量の事です。

つまり、1回拍出量×心拍数ということになります。

末梢血管抵抗というのは、末梢血管(毛細血管)に血液が流れ込むときに受ける抵抗の事です。

これらのことから、「血圧=1回拍出量×心拍数×末梢血管抵抗」ということになります。

血圧は、拍出量(=体液量)、心拍数、血管抵抗に依存することがわかります。

詳しくは、以下の記事を参照してください。

収縮期血圧と拡張期血圧

収縮期血圧は、心臓が収縮して血液を送り出したときの圧を表しています。

また収縮期に心臓から拍出された血液の一部が、心臓に近い大動脈に貯留し、拡張期に抹消に送られて拡張期血圧となります。

リスク管理として脈圧を知る意義

脈圧の概要

脈圧とは、脈の大きさを示しています。

脈圧は、「収縮期血圧-拡張期血圧」で示されます。

脈圧は通常、40-50mmHgが正常範囲となっています。

脈圧を知る意義としては、

・動脈硬化
・循環器疾患
・脳圧亢進によるクッシング徴候(激しい頭痛、嘔吐、意識障害、網膜出血、散瞳、うっ血乳頭(視力障害)など)
・閉塞性ショック(循環血液量は十分だが心臓に血液が帰ってこない。気胸、心タンポナーデ、肺塞栓等

脈圧が高いことは何を意味するのか

脈圧が高いというのは、「収縮期血圧-拡張期血圧」の値が40-50mmHgよりも高い状態で、大脈と呼ばれます。

この場合、大動脈などの太い血管の動脈の硬さが疑われます。

動脈硬化では、収縮期血圧が高くなり、拡張期血圧が低い状態になります。

脈圧が50mmHg以上になると心血管病のリスクが高くなります。

また、脈圧が60mmHg以上になると心血管病での死亡リスクが高くなります。

カテコラミンリリース

脈圧が50mmHgを超える場合、「カテコラミンリリース」を考える必要があります。

人は生命の危機に瀕するとき、生理的にカテコラミンを放出(カテコラミンリリース)します。

カテコラミンリリースが起きれば、血は上昇し、心拍数も増大します。

さらに血管収縮が起こり、末梢冷感や冷や汗も出現します。

カテコラミンリリースの代表的な病態として、

・呼吸不全(低酸素血症、高二酸化炭素血症)
・心不全、循環不全(ショック、有効循環血液量の低下)
・低血糖
・発熱(敗血症を含む)
・疼痛、不安、運動後

などがあります。

脈圧が低いことは何を意味するのか

脈圧が低くなるのは、収縮期血圧が低下し、拡張期血圧が高くなる場合です。

拡張期血圧が高くなるのは、動脈に押し出された血液がスムーズに抹消まで流れていないことが原因となります。

抹消血管への血流不良が持続すると、大血管にも動脈硬化が生じ、収縮期血圧も上昇していきます。

主な原因疾患としては、大動脈弁狭窄症、心タンポナーデ(心膜腔に水や血液が貯留し、心臓のポンプ機能低下により心拍出量が低下し、静脈還流の低下が起こる。血圧低下、脈圧低下、中心静脈圧上昇し、ショック状態になる)などがあります。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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