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リハビリテーションとリスク管理
リハビリテーション実施の際には、対象者の状態に合わせたリスク管理を行うことが重要です。
リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。
病態把握のためには、解剖学や生理学、病理学等の基礎知識も必要になります。
今回、リハビリテーションとリスク管理として、糖尿病性昏睡と高浸透圧高血糖状態についてまとめていきたいと思います。
糖尿病性昏睡とは
糖尿病昏睡とは異常な高血糖によって引き起こされます。
初期症状としては、体のだるさや頭痛、腹痛やけいれんなどが起こります。
進行により高度の脱水状態となり、血圧が低下し、尿の減少や頻脈など、生命に危険が及び、最終的には意識を消失し、昏睡状態となります。
2型糖尿病と高浸透圧高血糖状態
糖尿病性昏睡の原因として、2型糖尿病における高浸透圧高血糖状態があります。
なお、1型に多いのが糖尿病性ケトアシドーシスです。
高浸透圧高血糖状態と、糖尿病性ケトアシドーシスは、どちらも意識障害を呈することがあります。
2型糖尿病の病態
2型糖尿病は、遺伝因子や生活習慣によって、インスリンの分泌が低下したり、インスリン抵抗性といった2つの要因によって生じます。
これらの要因により、高血糖状態が持続します。
高浸透圧高血糖状態
感染症や脳血管障害、手術などにより、身体に侵襲が加わると、生命が危険に晒される状況になります。
すると身体は栄養が必要な状態だと判断し、インスリン拮抗ホルモンが亢進し、血糖が上昇します。
2型糖尿病では、インスリンは不足状態にありますが、血糖値が上昇します。
糖は腎臓で再吸収されるのですが、血糖値が160-180mg/dl以上になると、処理能力を上回るため、糖が尿に排出されるようになります。
すると、尿の浸透圧は上昇します。
尿管を通る濃い尿は、水分をたくさん引っ張るので、尿量が増加します(浸透圧利尿)。
浸透圧利尿では脱水状態に陥りやすく、血液の濃縮が進みさらに高血糖状態になります。
また、手術などの侵襲で炎症による発熱があったり、代謝亢進によっても脱水状態に陥りやすくなります。
高度な脱水により中枢神経障害が生じ、意識障害やけいれんが出現します。
これが、高浸透圧高血糖状態による糖尿病性昏睡のメカニズムになります。
高浸透圧高血糖状態は、高齢者では水分摂取量の低下や発熱なども重なり、脱水の起こしやすさがあるため注意が必要になります。
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