糖尿病とリスク管理-糖尿病性昏睡と糖尿病性ケトアシドーシス-

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

糖尿病についてのおすすめ記事

リハビリテーションとリスク管理

リハビリテーション実施の際には、対象者の状態に合わせたリスク管理を行うことが重要です。

リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。

病態把握のためには、解剖学や生理学、病理学等の基礎知識も必要になります。

今回、リハビリテーションとリスク管理として、糖尿病性昏睡と糖尿病性ケトアシドーシスについてまとめていきたいと思います。

糖尿病性昏睡とは

糖尿病昏睡とは異常な高血糖によって引き起こされます。

初期症状としては、体のだるさや頭痛、腹痛やけいれんなどが起こります。

進行により高度の脱水状態となり、血圧が低下し、尿の減少や頻脈など、生命に危険が及び、最終的には意識を消失し、昏睡状態となります。

1型糖尿病と糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病性昏睡の原因として、1型糖尿病における糖尿病性ケトアシドーシスがあります。

なお、2型に多いのが高浸透圧高血糖状態です。

糖尿病性ケトアシドーシスと、高浸透圧高血糖状態は、どちらも意識障害を呈することがあります。

1型糖尿病の病態

1型糖尿病は、膵臓にあるランゲルハンス島β細胞の破壊によって、インスリン分泌がされなくなることによって生じます。

1型糖尿病は、インスリン分泌なされなくなるので、血液内の糖が取り込めず、高血糖状態になります。

糖尿病性ケトアシドーシス

そこに、何らかの要因によりインスリン治療の中断や感染症、ストレスなどが生じると、身体が栄養が必要な状態であると判断します。

つまり、糖分を必要としている状態です。

ところが、インスリンがないため、細胞内に糖を取り込めないために、代償的に脂肪を分解や筋肉のタンパク質を分解してエネルギーに変換します。

脂肪は分解されると、最終的に「ケトン体」となり体内に蓄積されます。

ケトン体は酸性の特性があり、酸塩基平衡のバランスは酸性に傾きます(アシドーシス)。

ケトアシドーシスでは、

・クスマウル大呼吸(速く深い規則正しい呼吸:アシドーシスを補正するための代償的な呼吸)
・呼気アセトン臭
・嘔吐、腹痛
・意識障害

が生じます。

筋肉のタンパク質分解では、グリコーゲンの分解や糖新生により、さらに高血糖状態になります。

すると、血漿浸透圧が上昇し、脱水状態に陥ります。

脱水では、

・口渇、多飲、多尿
・皮膚乾燥
・意識障害
・全身倦怠感

が生じます。

アシドーシスと脱水が重なることで、重篤な意識障害が生じます。

これが、糖尿病性ケトアシドーシスによる糖尿病性昏睡という病態になります。

この場合、高血糖状態や尿ケトンが陽性になります。

糖尿病性ケトアシドーシスによる糖尿病性昏睡を防ぐには

糖尿病性昏睡は、感染症がトリガーになることが多いと言われています。

風邪などにより食欲低下があっても液体でも良いので食べやすいものを少しでも摂取しておくことが重要です。

また、インスリンや経口薬を中断しないことが重要になります。

調子の良くないときは安静にし、体力消耗を防ぎ、抵抗力を保てるようにします。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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