リハビリテーションと胸水-呼吸苦について-

                     
        
                   
        
                   
      
       

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呼吸についてのおすすめ記事

リハビリテーションとリスク管理

リハビリテーションでは、対象者の全身状態を把握することにより、適切な運動処方を提供する事が可能です。

例えば、対象者が息苦しさを訴えた場合、どのような原因が考えられるでしょうか。

一般的には、次のような原因が考えられます。

・気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気胸など⇨気管や肺の問題
・神経筋疾患、間質性肺炎・肺線維症など⇨呼吸筋の運動の問題
・うっ血性心不全、心臓弁膜症、狭心症など⇨心臓の問題
・過呼吸症候群など⇨血中酸素と二酸化炭素などのバランスの問題

今回のテーマは胸水と呼吸苦についてなので、その関係についてまとめていきたいと思います。

胸水とは

肺は、胸壁に囲まれた胸腔内に存在し、肺の外側は胸膜という薄い膜で覆われています。

胸膜は胸壁側(壁側胸膜)と肺を覆っている胸膜(臓側胸膜)の2枚から成り、この間にたまった液体が「胸水」です。

正常でも少量程存在し、胸膜がこすれない様に潤滑液としての役割を果たしています。

胸水は、壁側胸膜から産生され、臓側胸膜から吸収されることにより、一定の量を保っていますが、何らかの原因でこのバランスが崩れると胸水が貯まってきます。

普通のエックス線画像で胸水がわかるのは150ml以上たまった場合で、胸部CT画像では少量の胸水でも分かります。

https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=68

胸水貯留で見られる症状としては、

・胸の違和感
・咳
・息苦しさ(胸水の量が増えると生じる)

が代表的です。

しかしながら、胸水貯留が少量の場合や、貯留速度がゆっくりとしている場合は、無症状で経過する場合があるため注意が必要です。

胸水貯留の原因

胸水は、滲出性胸水と漏出性胸水に分類されています。

滲出性胸水は肺炎、感染、腫瘍、膠原病性胸膜炎などで確認されます。

滲出性胸水は、通常は片側のみに見られます。

漏出性胸水は、心疾患(心不全)、肝疾患、腎疾患などで確認されます。

漏出性胸水は、通常は両側に見られます。

胸水が溜まりやすい場所としては、背部の下肺野になります。

これらのことから、対象者が呼吸苦を訴えた際には、基礎疾患として上記のものがないかを確認する事が必要です。

胸水とリハビリテーション

急速な胸水貯留の場合、低酸素血症や呼吸困難を伴うことが多いので、パルスオキシメーターで酸素化を計測することが必要です。

基本的には医師に離床許可と運動内容を確認し、対象者の全身状態をアセスメントしながらリハビリテーションを実施していきます。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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