目次
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リハビリテーションと栄養
リハビリテーション行う上では、全身状態のアセスメントが必要です。
中でも、高齢者では栄養状態に注意しておく必要があります。
栄養が不足している状態でリハビリを積極的に行うと、対象者は逆に機能低下を起こしてしまう事があります。
そのため、対象者の栄養状態を常に把握し、適した運動内容を決定していく事が求められます。
低栄養の原因
対象者が低栄養状態に陥る要因としては、いくつかの要素が考えられます。
・食事摂取量不足
・肝機能低下(アルブミン合成障害)
・腎不全、ネフローゼ症候群(腎臓からのアルブミン漏出)
・広範囲のやけど(体表面からのアルブミン漏出)
・たんぱく漏出性胃腸炎(消化管からのアルブミン漏出)
・感染症、炎症性疾患、悪性腫瘍などの疾患、手術などの侵襲(アルブミン消費増大)
このように様々な要因が考えられるので、医学的情報や問診、情報収集等行い低栄養の原因をアセスメントする事が求められます。
呼吸器症状と低栄養
先ほど、低栄養の原因にはあげなかったのですが、今回のメインテーマである呼吸器症状(咳)とエネルギー消費を考えていきたいと思います。
呼吸器症状と低栄養と言えば、よく耳にするのはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の話題です。
COPDでは、栄養障害に陥りやすい事が知られています。
その理由として、
・タンパク質・エネルギー栄養の不足
・代謝の亢進
・摂取エネルギー量の低下
が挙げられます。
また、気流制限や肺の過膨張によりそれを補おうと呼吸筋の過活動がみられ、呼吸に伴うエネルギー消費量が大きくなってしまいます。
ここで話を戻しますが、呼吸器症状として、「咳」とエネルギー消費を考えます。
我々も、風邪症状の一つとして咳を経験しますが、咳は1回当たりのエネルギー消費が約2kcalだとされています。
例えば、1時間に10回程度咳をしたとすれば、1時間に消費されるエネルギーは20kcalです。
極端な話ではありますが、それが24時間続いたとすれば、1日に約480kcalを消費することになります。
このエネルギー消費量は、十分に栄養障害の要因になる事が考えられます。
咳が生じる原因としては、様々なものがありますが、薬の副作用の存在も忘れてはなりません。
例えば、降圧薬の一つであるACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)は、アンジオテンシン変換酵素(血圧を上昇させる)の働きを弱めて、血圧を下げる働きがあります。
その一方で、咳を引き起こす物質ブラジキニンやサブスタンスPの分解も阻害してしまうため、副作用として空咳の副作用(約1~5%)が出てしまいます。
このように、薬の副作用としての咳も存在することから、様々な情報を収集しながらアセスメントを行う事が求められます。
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