リハ・看護・ケアと栄養-食欲低下の原因⑥消化器系の症状-

                     
        
                   
        
                   
      
       

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栄養についてのおすすめ記事

運動と栄養の関係性

身体機能を向上させたい!日常生活能力を向上させたい!

そう考えた時に、ただ単に運動を行わせれば良いというものでもありません。

それはなぜかと言うと、対象者の全身状態が関係しています。

今回のテーマである栄養の観点からすると、低栄養状態で運動を積極的に行うと、逆に対象者の機能低下を引き起こしてしまう事があります。

低栄養を引き起こす要因の一つとして、「食欲低下」があります。

食欲低下の原因は様々ですが、その要因を分析し、栄養状態を改善する事が、積極的な運動による効果を期待できるようになります。

食欲低下の原因

食欲低下の原因にはいくつかの要素が考えられます。

・食習慣、環境
・嚥下機能低下
・がんや、手術、薬物療法、放射線治療などの治療の影響
・消化器系の症状(胃炎、吐き気、便秘、下痢など)
・身体症状(痛み、息苦しさなど)
・口腔内環境(味覚の変化、口内炎、口内の乾燥、入れ歯が合わないなど)
・精神的要因(不安、抑うつ、せん妄、ストレスなど)

原因を考えただけでも、上記のように多数の事が考えられます。

そのため、食欲低下の原因を詳細にアセスメントしながら、対策を講じて行く必要があります。

今回は、食欲低下の原因の中でも、消化器系の症状に焦点を当てていきたいと思います。

消化器系の症状と食欲低下

リハビリテーション対象者において、一番よく遭遇する消化器系の症状としては、便秘ではないでしょうか。

私の経験では、入院前には便秘症状はなかったが、入院後は便秘になったという方が多く、環境変化による影響や活動量低下によるもの、疾患そのものによる影響が考えられます。

便秘の種類

便秘にはいくつかの種類があります。

一つ目は、弛緩性便秘です。

弛緩性便秘は、結腸の筋肉が緩んで、蠕動運動が弱苦なり、便を送り出しにくくなっている状態です。

弛緩性便秘は、活動量が低下している方に多く見られます。

二つ目は、痙攣性便秘です。

痙攣性便秘は、筋の緊張状態が続き、蠕動運動が強くなりすぎる事で便が滞留し、便を送りにくくなっている状態です。

痙攣性便秘は精神的緊張(不安やストレス)が高まっている方に多く見られます。

三つ目は、直腸性便秘です。

直腸性便秘は、便が直腸にたどり着いても、肛門の機能障害により、便が排泄されず、便意も起こらなくなる状態です。

便秘と食欲低下

便秘になると、腸内フローラ(各腸内細菌のごとの集団)が乱れます。

腸内フローラの乱れは、腹部内のガスが溜まり、お腹の張りにつながります。

便が腸内に溜まることにより、腸に食べ物を送ることができなります。

すると胃の中に食べ物が残ってしまい、食欲低下が生じます。

透析を受けている方では便秘の方が多いので、注意が必要になります。

一般的な便秘の原因は以下のようなものがあります。

・水分不足
・食物繊維摂取不足
・腸の動きが弱い
・運動不足
・過度の緊張やストレス
・便意の慢性的な我慢(排便反射の鈍化)

対象者にこれらの要因の中で当てはまるものがないかを確認する事が必要です。

また、薬剤の副作用による便秘の可能性も考えられるので、服用している薬剤の確認んを行います。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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