リハビリテーションと栄養-低栄養や異化期の運動強度はどうするか-

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

栄養についてのおすすめ記事

リハビリテーションにおける運動処方

リハビリテーションでは、対象者の状態に応じた運動処方内容を決定する必要があります。

運動処方内容の決定には、全身状態の評価が必要ですが、栄養状態が悪い場合、レジスタンストレーニングをセッkyくてきに行うことは禁忌とされています。

それは、逆に全身状態が悪くなってしまう可能性があるためです。

今回、低栄養や異化期の運動強度内容についてまとめていきたいと思います。

代謝の変動を理解する

急性疾患や手術などで身体に侵襲が加わると、回復過程で傷害期→異化期→同化期というような代謝の仕方が変動していきます。

この中で、異化期では炎症反応が強くなり、組織修復や免疫機能を高めるために多くのエネルギーが必要になります。

この時、エネルギー産生は、筋蛋白がアミノ酸に分解されることで生じます。

身体への侵襲が大きいほどエネルギーが必要になるので、その分筋肉のタンパク質は大きく失われることになります。

回復過程で、治癒が進むと、炎症や代謝の亢進もも改善し、同化期(アナボリック:タンパク質の同化による筋肉合成)になります。

異化期におけるリハビリテーションと運動処方内容

前途しましたが、異化期ではエネルギー産生のために筋蛋白がアミノ酸に分解されます。

そのため、積極的なレジスタンストレーニングは行えません。

しかし、廃用性筋萎縮は予防する必要があります。

安静臥床により筋肉量は1日約0.5%減少し,筋力は1日約0.3-4.2%減少すると言われています。

廃用性筋萎縮を防ぐために、2-3METS以下の活動は制限しないことが推奨されています。

すなわち、リハビリテーションにおいても2-3METS以下の運動を提供することが重要になります。

なお、異化期と同化期の見極めの目安として、血液データのCRPが3mg/dL未満となることが言われています。

低栄養状態におけるリハビリテーションと運動処方内容

栄養不良状態においてもレジスタンストレーニングは禁忌となっています。

しかしながら、安静も廃用性筋萎縮を助長させてしまうことから、異化期の運動処方内と同じく、2-3METsの運動は行うべきだとされています。

2-3METsの運動内容とは

METsとは、身体活動の強さを、安静状態の何倍に相当するかを示す単位です。

座って安静にしている状態を1METsとし、普通歩行は3METsとなります。

つまり、安静時と比較し3倍の代謝でカロリー消費が行われるということになります。

セルフケア(食事、整容、更衣、入浴、排泄)におけるMETsは全て3METs未満です

なお、一番高い活動強度は「立位、または座位での着替え」、「立位で髪型を整える」の2.5METsとなっています。

3METs未満の活動としては

・皿洗いをする(1.8メッツ)
・洗濯をする(2.0メッツ)
・立って食事の支度をする(2.0メッツ)
・こどもと軽く遊ぶ(2.2メッツ)
・時々立ち止まりながら買い物や散歩をする(2.0~3.0メッツ)
・ストレッチングをする(2.3メッツ)
・ガーデニングや水やりをする(2.3メッツ)
・動物の世話をする(2.3メッツ)
・座ってラジオ体操をする(2.8メッツ)
・ゆっくりと平地を歩く(2.8メッツ)

などが挙げられます。

このように、3METsまでの運動も様々なものがあるので、リハビリテーション運動内容を決定の参考にすると良いと思います。

                     
        
                   
        
                   
      
       

関連記事

  1. 慢性閉塞性肺疾患と高脂肪食-栄養代謝によるエネルギー産生と呼…

  2. リハ・看護・ケアと栄養-食欲低下の原因②嚥下機能低下-

  3. リハ・看護・ケアと栄養-食欲低下の原因①食習慣、環境-

  4. リハビリテーションとリスク管理-低アルブミン血症と胸水の関係…

  5. リハビリテーションとリスク管理-電解質異常と不整脈-

  6. リハビリを阻害する睡眠障害の5つの原因-高齢者の睡眠に焦点を…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。