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リハビリテーションとリスク管理
リハビリテーションでは、攻める姿勢が大切です。
近年では、超急性期のリハビリテーションにおいても積極的なリハビリテーションの実施が議論されているところです。
このように、リハビリテーションにおいては攻める姿勢を貫くことで、対象者の回復を促進させることが可能ですが、攻めるためにはリスク管理が重要になります。
ただ単に、闇雲に運動性を上げるリハビリテーションを提供しても、対象者の状態把握をしていないと逆効果になる可能性があります。
リスク管理と体重
リハビリテーションを実施する上では、様々な情報を収集し、対象者の全身状態を評価して行くことになります。
その際、重要な情報になりうるのが体重です。
体重の増減を見ることは、対象者の全身状態を反映していることがあるため、ぜひチェックしておきたい評価項目になります。
心不全と体重(増加)
では、今回のメインテーマである心不全と体重について考えていきます。
まず、心不全というのは疾患名ではありません。
何らかの心臓の機能低下によって、心臓がうまく働かなくなっている状態です。
もう少し詳しく説明すると、心不全というのは、上・下大静脈から右心房に戻ってくる血液量が十分であるにもかかわらず、心臓が全身の組織の代謝の必要に応じて適当かつ十分な血液を駆出できない状態と言えます。
心臓の機能低下によって体重が増加するのは、心不全の兆しの大事な手がかりになります。
よく言われているのは、1週間で2kg以上の増加がある場合には要注意です。
心不全により体重が増加するメカニズム
心臓の機能低下により血液を全身に送り出す能力が低下すると、心臓から前方へ血液が進みにくくなり、心臓の後方(血液を受け入れる)では血液のうっ滞が生じます。
これを後方障害と呼びます。
なお、前方障害は心拍出量が減ることにより、筋肉に血液が行き渡らなくなり、疲れやすさや気だるさなどの症状が出現します。
心不全の増悪において体重を指標とするのは、尿量測定よりも水分のIN・OUTの結果がはっきりと出るためです。
心不全を疑う血液データは
体重増加は腎機能障害でも生じることがあります。
腎機能障害では、ろ過機能の低下による水分の排出が困難になるためです。
ここで、心不全を疑うための血液データの指標について確認をしていきます。
脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が指標となり、100pg/mL以上で心不全を疑います。
最後に、慢性心不全増悪の兆候について記しておきます。
慢性心不全増悪の兆候として、
・下腿浮腫
・体重増加
・運動耐容能低下
・全身倦怠感
・食欲不振
・夜間頻尿
・尿量減少
などがあります。
これらの事を整理しておけば、対象者の状態変化を鋭敏に捉えられるようになると思います。
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