リハビリテーションと易疲労性-原因④低栄養-

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

易疲労性についてのおすすめ記事

易疲労性の様々な原因

リハビリテーションを行う上で、運動処方の内容を検討することは重要な要素です。

対象者の全身状態をアセスメントしながら、対象者に応じた運動種目・回数・セットを調整しながらリハビリテーションを進めていくことで、効率よく対象者の状態変化を生じさせる事ができます。

一方で、リハビリテーションの提供内容が不適切だと、対象者の状態が悪化してしまうことにもつながります。

リハビリ実施場面において、対象者が疲労感を訴えることはよくあります。

この時、リハビリの提供内容のみに着目してしまうと、対象者の疲労感の本当の原因を見逃してしまうことになります。

対象者が疲労感を訴える原因としては、

・貧血
・腎機能低下(による腎性貧血)
・電解質異常
・低栄養
・精神疾患
・ステロイド剤の使用
・心不全
・感染症
・脱水
・認知症

などがあります。

今回、リハビリテーションにおける易疲労性の原因として、低栄養に焦点を当てて考えていきたいと思います。

低栄養状態とは

まず、「低栄養」とはどのような状態なのかを確認していきます。

低栄養状態とは、栄養素の摂取が生体の必要量より少ないときに起こる体の状態を指します。

我々は、生命維持のために必要な栄養素の摂取量が決まっており(個体差がある)、必要量が不足していると生命維持に何らかの悪影響を及ぼします。

高齢者においては、低栄養状態の中でも、特にタンパク質とエネルギー摂取が不足する「たんぱく質・エネルギー欠乏症」が問題になることが多いです。

たんぱく質・エネルギー欠乏症について

タンパク質・エネルギー欠乏症についてもう少し詳しく確認していきます。

たんぱく質とエネルギーが不足して、健康を維持するうえで必要な栄養が足りていない状態。

特に、食べる量が少なくなり、肉などのたんぱく質が豊富な食べ物を好まなくなる高齢者によく見られる。

主食や主菜を摂る量が減ることや、偏食などによる栄養不足で貧血や体重減少、免疫力の低下が起き、寝たきりや合併症、感染症を招きやすいとされている。

たんぱく質・エネルギー低栄養状態ともいう。

https://www.health.ne.jp/glossary/detail?id=106220

ここで、タンパク質・エネルギー欠乏症の状態が続くと、身体にどのような影響が生じるのかを確認していきます。

感染症リスクの増加、胸腺の萎縮、末梢リンパ組織の消耗が起こり、特に細胞性免疫において免疫反応の障害が続くことが指摘されています。

また、たんぱく質摂取の不足は高齢者における筋肉量の低下を生じさせます。

筋肉量の減少は、食事のみならず、運動不足による原因も関連しています。

これらのように、タンパク質・エネルギー欠乏症では、人体に様々な悪影響を及ぼすことがわかります。

低栄養状態と易疲労性

次に、今回のメインテーマである低栄養状態と易疲労性について考えていきます。

低栄養状態がなぜ疲労感生じさせやすいのかは、イメージしやすい思います。

我々が身体活動を行うためには相応のエネルギーが必要ですが、低栄養状態ではそのエネルギーが不足しています。

また、低栄養状態による筋肉量減少は運動じの脱力を生じさせやすいため、易疲労性につながります。

血液データ(血清アルブミン値)と易疲労性

低栄養状態を評価するためには、血清アルブミン値を参照します。

一般的に、生理学的には≦3.5g/dlでは内臓タンパク減少、≦2.8g/dlでは浮腫が生じます。

また、血清アルブミン値が3.0g/dL未満では、疲労感が出現しやすいので、リハビリテーション実施には注意が必要です。

米国栄養士会では、タンパク質・エネルギ-低栄養状態の栄養診断基準には、血清アルブミン値<3.4g/dlを採用しています。

栄養については以下の記事も参照してください。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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