目次
尿道留置カテーテルについてのおすすめ記事
・看護・リハも知っておきたい尿道留置カテーテルが必要な条件
・膀胱(尿道)留置カテーテルとリスク管理-車椅子移動時の固定位置-
リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
薬剤においては、服用している薬剤がどのような作用があり、一方でどのような副作用があるか、またそこから予測されるリスクを考える事で、リスク管理につなげる事が可能です。
また、患者様に用いられている医療機器があれば、その特徴と使用方法、誤用がないようにする事が求められます。
今回、看護・リハも知っておきたい尿道留置カテーテルにおける合併症についてまとめていきたいと思います。
正常な蓄尿と排尿
一日の大半は蓄尿状態になり、それは苦痛を伴うことはありません。
通常300~500ml程の尿貯留にて尿意を強く感じ、排尿を促します。
排尿においては、排尿態勢をとると自然に排尿が始まります。
これは内外尿道括約筋が弛緩し膀胱の収縮により開始されます。
排尿は途切れることなくほとんど全量が排泄されます(通常残尿はほとんどない)。
また排尿には腹圧をかけることはありません。
通常の排尿回数は1日に5~7回で、就寝中は0回です。
1日の尿量は1500~2000mlになります。
膀胱(尿道)留置カテーテルについて
膀胱(尿道)留置カテーテルは、膀胱から直接尿を排出するために、尿道を通って、膀胱に長期間入れておくカテーテルのことです。
経因性膀胱や前立腺肥大症などにより尿閉を来たしやすく、尿が排出できなくなった時に留置されます。
他にも、泌尿器・生殖器疾患の術後に治癒を促進する場合や重症患者の尿量を正確に把握したい場合に用いられる事があります。
尿道留置カテーテルにおける合併症
尿路感染症
尿路感染は様々な原因で生じますが、その原因としては多くが尿道留置カテーテルによるものです。
カテーテルを留置する期間が長くなればなるほど尿路感染は生じやすくなります。
男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン 2017によると、30日以上のカテーテル留置では約100%に細菌尿が検出されるとしています。
尿路感染症の症状としては、上部尿路感染症では、
・38℃以上の高熱(夜間に熱が上がる傾向)
・腰痛、背部痛(叩くと鈍い痛)
・吐き気や嘔吐、体重が増えない、食欲低下
・尿の濁り
などがあります。
下部尿路感染症では、
・排尿痛
・頻尿、残尿感
・血尿
・尿の濁り
などがあります。
症状が出ている場合、抗菌薬の投与やカテーテルの交換が必要になります。
出血
カテーテルの初回挿入または交換時の尿道損傷や、膀胱粘膜へのカテーテルの接触により出血となる事があります。
血尿によりカテーテルが閉塞する場合は、洗浄による血腫除去や生理食塩水での環流が必要な事があります。
結石
結石は、尿中のカルシウム、マグネシウム、尿酸などが結晶をつくり結石となります。
尿の濃度が高いと結晶が作られやすくなります。
尿路感染がある場合、アルカリ尿に傾きくため結石を生じやすくなります。
洗浄にて除去できない場合は手術適応になる場合があります。
日常的な対策としては、水分制限がなければ尿量を1日2000mL程度確保できるように飲水します。
膀胱機能低下、膀胱萎縮
尿道留置カテーテルを使用していると、常に排尿状態が続きます。
すると、本来の膀胱機能である収縮や弛緩が生じないために、膀胱の機能低下が生じやすくなります。
我々が寝たきりになると心身機能が低下する廃用症候群と同じで、膀胱にも廃用性萎縮が生じるわけです。
尿道留置カテーテルの使用が短期間であれば、膀胱機能は回復しやすいですが、これが長期間に渡ると機能改善が難しくなります。
尿道損傷
尿道損傷は、尿道留置カテーテル挿入の際に生じることがあります。
また本来の尿道ではなく、偽尿道が作られてしまうと、本来の尿道に誘導しにくくなります。
尿道皮膚瘻
尿道皮膚瘻は、カテーテル周囲の尿道炎により、尿道と皮膚(多くは陰茎腹側と陰嚢の境界あたり)に瘻孔ができた状態です。
これは、尿道留置カテーテル使用が長期にわたることで、血流障害により形成される場合もあります。
状態に応じて、膀胱瘻を設置することで対応します。
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