目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
そして、透析療法においては、どのような機器を用いて老廃物の排泄が行われるかについても把握しておく必要があります。
今回、看護・リハも知っておきたい透析療法として、バスキュラーアクセスの種類についてまとめていきたいと思います。
バスキュラーアクセスの概要と種類
血液透析においては、大量の血液を透析器に循環させる事が必要ですが、体内から血液を取り出す場所を「バスキュラーアクセス」と言います。
バスキュラーアクセスは、主に4つの種類があります。
自己血管による皮下動静脈シャント(AVF)
これは、自分の血管を用いたシャント(内シャント)です。
血液透析の中では一番多く用いられているバスキュラーアクセスになります。
通常は、橈骨動脈と橈側皮静脈を利用して作成されます。
人工血管による皮下動静脈シャント(AVG)
これは、人工血管を用いたシャント(内シャント)です。
人工血管を用いるのは、前腕で皮下動静脈シャント(AVF)を作成する事ができない場合や、心機能低下によりシャント負荷に耐えられない場合、末梢循環不全を呈していない場合などに作成されます。
シャント負荷について、
シャントの作製が心機能,心房性利尿ホルモン,心肥大に影響を与えることはすでに知られている.短絡量が著しく大きい場合,心拍出量が限界に達して心機能が破綻し,高心拍出量性心不全を呈する.または,心予備能が低い場合,シャント血流の増加に心拍出量の増加が対応することができずに,全身循環が阻害される循環障害型の心不全が発症する.
日本透析医学会雑誌 38巻 9号 2005
とあります。
表在化動脈
これは、筋膜に囲まれた上腕動脈を筋膜の外に位置を変えて(皮膚まで挙上させる)穿刺しやすくするものです。
カフ型カテーテル
これは、透析カテーテルが長期間留置に耐えれるように、皮下トンネルとカフをつけたものです。
シャントトラブルの種類と原因、評価項目
シャントトラブルには、
・シャント狭窄・閉塞
・シャント感染、シャント出血
・シャント瘤
・スティール症候群
などがあります。
シャント閉塞、シャント狭窄
しゃんと閉塞やシャント狭窄は、圧迫される事であったり、穿刺の回数が多くなることで見られます。
また、血管にカルシウムやリンが沈着することで生じる血管の石灰化によっても生じることがあります。
他にも、シャント静脈が肥厚したり、急激な血圧低下、脱水や血液凝固能の亢進によっても生じます。
評価項目としてはシャント音の確認があります。
シャントを触ると「ゴーゴー」「ザー」と血液が流れている感じがしますが、これをスリルと言います。
シャントの血流が悪くなるとスリルも弱くなり、触れる部位よりも肩に近い所で血管が細くなると、血管が硬く張ったり、スリルが「ドクンドクン」というような拍動に変化することがあります。
聴診器でシャント音を聴く場合、「ザーザー」「ゴーゴー」のような連続音がします。
血流が弱くなると音も弱くなります。
血管が細くなると、「ヒューヒュー」のような高い音や、「ザッザッ」「ビュッビュッ」といった拍動音が聴こえま
す。
また、疼痛がないかどうか、シャント肢の冷感がないかどうか、透析中の静脈圧上昇、脱血不良、止血時間の延長が見られないかどうかを確認します。
シャント感染
シャント感染は、シャント肢の清潔が保てていない場合や、穿刺や抜針での不潔操作、易感染状態、皮膚のバリア機能低下により生じます。
易感染状態は、糖尿病・肝硬変・腎不全・低栄養・悪性腫瘍・無ガンマグロブリン血症などの基礎疾患をもつ患者や、重症外傷・広範囲熱傷患者、ステロイド・抗癌剤・免疫抑制剤の投与、放射線治療を受けた方などが含まれます。
感染(炎症)の兆候(熱感、発赤、腫脹)の確認や、膿瘍の有無、高熱などの全身状態の変化を確認します。
シャント出血
シャント出血は転倒や止血・穿刺ミス、シャント瘤の破裂などにより生じます。
皮下出血であれば腫脹や血腫の形成を確認し、外出血ではショック状態への変化を考慮し観察していきます。
シャント瘤
シャント瘤は、動脈と静脈をつなぎ合わ せた吻合部近辺に起こるものです。
多くは吻合部直後に血管が狭くなることが原因です。
血液が流れると吻合部に強い圧がかかるために起こります。
シャント瘤の大きさに変化はないか、疼痛や皮膚の薄さの確認、感染兆候(熱感、発赤、腫脹)の有無を確認します。
静脈高血圧症
静脈高血圧症は、シャント側の腕全体また一部が腫れてくる事を指します。
シャントに流入した血液量を流出静脈が十分に戻すことができず、結果として腕や手背の浮腫、静脈拡張、うっ血、皮膚潰瘍などを生じます。
静脈高血圧症では腫脹の確認や静脈枝の怒張を確認します。
スティール症候群
スティール症候群とは、本来指先にいくはずの栄養や酸素がシャントに多量に流れるため指先が痛くなったり、冷たくなったり、紫色になることです。
冷感、しびれ、血色不良、疼痛を確認します。
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