目次
易疲労性についてのおすすめ記事
- リハビリテーションと易疲労性-原因⑪睡眠-
- リハビリテーションと易疲労性-原因⑩高次脳機能障害-
- リハビリテーションと易疲労性-原因⑨精神疾患-
- リハビリテーションと易疲労性-原因⑧認知症-
- リハビリテーションと易疲労性-原因⑥心不全-
- リハビリテーションと易疲労性-原因⑤ステロイド剤の使用-
- リハビリテーションと易疲労性-原因④低栄養-
- リハビリテーションと易疲労性-原因③電解質異常-
- リハビリテーションと易疲労性-原因②腎不全による腎性貧血-
- リハビリテーションと易疲労性-原因①貧血-
リハビリテーションと易疲労性
今回で、リハビリテーション場面で遭遇しやすい問題である易疲労性についての7個目の記事になります。
毎回のように復習していますが、易疲労性の原因として、
・貧血
・腎機能低下による腎性貧血
・電解質異常
・低栄養状態
・心不全
・ステロイド剤の使用
・脱水
・感染症
・認知症
・精神疾患
などが挙げられます。
易疲労性の原因と言っても、上記を参照してもらうと様々なものがあることがわかります。
対象者の方の状態・病態理解が進めば、なぜ「しんどい」「疲れる」と言っているのか、その原因を考えやすくなります。
今回は、易疲労性の原因である脱水に焦点を当てて考えていきたいと思います。
脱水とは
脱水とはその名の通り、体内の水分が不足している状態です。
私たちの体は、水分が多いことで知られていますが、体の中を満たしているのは体液(血液・リンパ液・消化液)です。
体液は水とミネラル(ナトリウム、マグネシウム、カリウムなど)から構成されており、体液の働きにより我々は健康維持がなされています。
脱水症状を引き起こす原因には様々なものがあります。
わかりやすいのは発汗です。夏場スポーツをしていると汗が出ますが、これは体内の水分を減少させます。
さらに、発汗により体の中の水分だけでなくミネラル成分も減少してしまいます。
また、発熱や下痢が続いたときにも体の水分量は減少してしまいます。
脱水を防ぐには、水分だけでなくミネラル成分を補給するように言われるのはこのような理由からです。
脱水症状について
脱水症状にも様々なものがあります。
軽度脱水状態
・皮膚の乾燥
・口腔内の乾燥
・手の甲の皮膚をつまんだ後にすぐ戻らない(ツルゴール反応)
・爪を押してから色がすぐに戻らない
・ボーッとする
・傾眠傾向
・めまい、ふらつき
・手足の末端が冷たくなる
中等度脱水状態
・頭痛、吐き気
・尿量減少
・体重減少
・嘔吐や下痢などの体調異常
重度脱水状態
・意識障害
・痙攣
リハビリテーション関連でリスクを伴うのは、脱水による起立性低血圧です。
これは、脱水による循環血液量の減少により、血圧が低下します。
また、血圧低下を代償するために、頻脈傾向になります。
起立性低血圧は転倒のリスクも高めるため、注意が必要になります。
高齢者と隠れ脱水
リハビリテーションの対象者は圧倒的に高齢者が多く、その高齢者は隠れ脱水が多いとされています。
隠れ脱水とは、脱水症状になりかけているのに、本人もしくは周囲が気づきにくい状態を指します。
高齢者が脱水に陥りやすい理由にはいくつかあります。
・水分摂取量の減少
・内臓の機能低下
・口渇中枢の減退
・排尿障害
・薬剤の影響
病院での患者様を見ていると、圧倒的に水分摂取量の低下が目立つ印象です。
薬剤の使用においては、降圧薬の中には利尿作用を含むものもあるので、どの薬剤を使用しているかの確認が必要になります。
脱水症状を知るためのデータの把握
脱水が生じると、血液が濃縮します。
これは、体内の水分量が減少するためです。
すると、腎機能が低下するため、以下の検査項目の値は上昇します。
・赤血球数(RBC)
・ヘモグロビン値(Hb)
・アルブミン(Alb)
・総たんぱく(TP)
・ヘマトクリット(Ht)
・尿素窒素(UN)
・尿酸(UA)
・クレアチニン(Cr)
また、下痢などによる脱水症状の場合は、電解質以上として数値が低下します。
脱水と易疲労性
我々が健康状態を維持するためには、いかに排尿できているかもポイントになります。
脱水状態では血液濃縮から腎機能低下が生じると述べましたが、水分摂取量が少ないと十分な尿量ができません。
尿量の低下は疲れやすさやだるさなどの症状に繋がり、また食欲が低下します。
このような状態ではナトリウム等の電解質を十分に排出できず、電解質の蓄積は体内の水分の増加をもたらし、
高血圧や浮腫に繋がることもあります。
脱水については以下の記事も参照してください。
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