リハビリテーションと易疲労性-原因⑤ステロイド剤の使用-

                     
        
                   
        
                   
      
       

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易疲労性についてのおすすめ記事

リハビリテーションと易疲労性

リハビリテーション実施場面で遭遇する問題として、ブログ形式で様々な原因を考えてきましたが、今回で5つ目になります。

易疲労性の原因としては、

・貧血
・腎機能低下(による腎性貧血)
・電解質異常
・低栄養状態
・ステロイド剤の使用
・心不全
・感染症
・脱水
・認知症

などがあります。

今回は、その中でもステロイド剤の使用と易疲労性の関係性について考えていきたいと思います。

ステロイド剤とは

まずは、ステロイドについて確認をしていきます。

ステロイドはホルモンの一つです。

副腎(両方の腎臓の上端にあります)から作られる副腎皮質ホルモンの1つです。

ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われています。

http://www.twmu.ac.jp/NEP/steroid.html
(表1)
https://jp.glico.com/boshi/futaba/no68/con03_05.htmより引用

上図にあるように、ステロイド剤は内分泌系、ショック、膠原病、アレルギー、呼吸器、腎臓、消化器、神経・筋など、様々な疾患に使用されることがわかります。

対象者の使用薬剤の中に、ステロイド剤が使用されていないかチェックしておくことが求められます。

ステロイド剤使用による副作用を確認

ステロイド剤は、様々な疾患に使用される一方で、副作用に注意しておく必要があります。

ステロイド剤使用による副作用としては、

・易感染性
・骨密度減少
・糖尿病(血糖値上昇)
・消化性潰瘍
・血栓症
・精神症状
・満月様顔貌
・動脈硬化、高脂血症
・高血圧症、浮腫
・白内障、緑内障
・副腎不全
・大腿骨頭壊死
・筋力低下

これらのうち、リハビリテーション療法士が特に注意する必要があることとして、
・骨密度減少
・筋力低下
が挙げられます。

ステロイド服用によりグルココルチコイドというホルモンが筋肉の細胞にある受容体と結合すると、タンパク質分解を促進する遺伝子や合成を抑制する遺伝子の働きを強め、筋萎縮を引き起こすことが知られています。

筋力低下は転倒リスクを高め、骨粗鬆症が進行していると転倒による骨折リスクが一段と高くなります。

そのため、ステロイド剤を使用している対象者では、転倒に注意する必要があります。

ステロイド剤と易疲労性

ステロイド剤の副作用として、筋力低下や脱力感、疲れやすさが見られることがあります。

これらの症状は、ステロイド剤の服用量によって、個人差があるものなので、対象者の方全てに見られるものでありません。

しかしながら、これらの副作用が生じやすいということを把握しておくことで、対象者の易疲労性の原因を探ることが可能になります。

また、転倒リスクが高くなることも把握しておくと、リハビリテーション場面だけではなく、普段のケアの場面における注意点にもなるので、情報共有をすることが大切になります。

薬物療法については以下の記事も参照してください。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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