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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。
フィジカルアセスメントにおいては、その数値だけでなく、なぜその数値になるのか、またその意味を知ることで、対象者の状態像の理解に役立ちます。
今回は、脳血管疾患とリスク管理として、脳血流量の考え方についてまとめて行きたいと思います。
脳血流について
脳血流量の調節
脳血流は、脳の循環に関わる大切なものです。
脳の正常な活動にはエネルギ-代謝が必要です。
エネルギ-代謝にはグルコ-スと酸素が必要ですが、脳組織にはグルコ-スと酸素の蓄えはほとんどありません。
そのため、血流により常時グルコ-スと酸素を供給する必要があるわけです。
つまり脳血流低下は、脳の活動維持が困難になることを示しています。
脳血流量は、「脳の血管抵抗」と「脳灌流圧(頭蓋内動脈圧と頭蓋内静脈圧の差)」で調節されます。
脳血管抵抗は、動脈の太さや動脈硬化、血液の粘性やPaO2・PaCO2・PHなどの状態によって変化します。
呼吸との関係では、PaO2低下やPaCO2が上昇すると、脳血管が拡張し、循環血液量が相対的に減少してしまいます。
脳外科術後などにおいて、循環血液量を維持したい場合、呼吸の変化が脳血流量に変化を与えるということを理解しておく必要があります。
脳灌流圧は、脳循環の調整が正常であれば、50-150(170)mmHgの範囲で脳血流は一定に保たれています。
脳血流量はどのように求められるか
脳灌流圧(CPP; Cerebral perfusion pressure) 脳血流量(CBF: Cerebral blood flow)=———————————————– 脳血管抵抗(CVR;Cerebrovascular resistance) |
脳血流量は、上記の式で求められます。
しかしながら、脳灌流圧は直接測定できないので、代わりとして平均血圧と脳圧より計算することがあります。
脳灌流圧(CPP; Cerebral perfusion pressure)=平均動血圧(MAP;mean arterial pressure)−頭蓋内圧(ICP;intracranial pressure) |
となります。
これは、頭蓋内圧(ICP)が一定であれば、血圧が上昇すると脳血流量は増加し、下降すると減少することを示しています。
ただし、恒常性を保つため、平均血圧が60 ~180mmHg以下の範囲では、血管の平滑筋が血圧に応じて伸展または収縮するため、血圧に関係なく脳血流量を一定に保ちます。
これを「自動調節能」と言います。
平均血圧は、以下の式で求められます。
平均動血圧(平均血圧)=(収縮期血圧−拡張期血圧)÷3+拡張期血圧 |
拡張期血圧の値は脳血流量に反映されるため、拡張期血圧の管理も重要になってきます(特にペナンブラ領域の管理で重要)。
ペナンブラについては以下の記事を参照してください。
・急性期脳卒中リハビリで気をつけたいペナンブラとリスク管理
脳血管疾患とリスク管理として大切なこと
平均動血圧(MAP;mean arterial pressure)を適切に上昇させ、頭蓋内圧(ICPintracranial pressure) をできるだけ下げられるようコントロールすることで、 脳灌流圧(CPP;Cerebral perfusion pressure)を最適化することにあります。
また前途したように、PaO2低下やPaCO2が上昇すると、脳血管が拡張し、循環血液量が相対的に減少するため、呼吸管理も重要になります。
SpO2のモニタリングや排痰の状況などもチェックする必要があります。
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