慢性閉塞性肺疾患(COPD)と高炭酸ガス血症

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

COPD(慢性閉塞性肺疾患)についてのおすすめ記事

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。

病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。

今回、COPD(慢性閉塞性肺疾患)と高炭酸ガス血症についてまとめていきたいと思います。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、

・タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生じる肺疾患
・呼吸機能検査で気流閉塞を示す

上記2つがガイドラインで定められています(COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 第5版 2018)。

気流閉塞とあるため、呼吸において、息が吐きにくい状態になっていることが特徴的な疾患という事になります。

気流閉塞と高炭酸ガス血症

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気流閉塞を特徴とする病態です。

気流閉塞があるために、吐き出せない空気が肺胞内に停滞している状態です。

つまり、二酸化炭素(CO2)が血液中に多く含まれているという事になります。

COPDでは、高炭酸ガス血症が見られます。

慢性呼吸不全とPaCO2とPH

PaCO2とは

PaCO2は動脈血二酸化炭素分圧のことで、動脈血中の二酸化炭素の分圧を表しています。

PHを異常値にしている原因(二酸化炭素:酸性物質)となります。

PaCO2は換気により調節されています。

PaCO2の基準値は35-45Torrです。

慢性呼吸不全とは

慢性呼吸不全というのは、高炭酸ガス血症が1ヶ月以上続いている状態をさします。

これは、PaCO2>45Torrが1ヶ月以上続いているという状態になります。

ここで、PaCO2は、酸性物質なので、PHを酸性に傾ける性質があります(PHが酸性に傾く事をアシデミアと言う)。

PHの変化と症状

PHが酸性に傾く事をアシデミアと言い、これはPHが7.35を下回っている状態です。

一般的には、PHが7.2以下になると、

・血圧低下
・不整脈
・見当識障害

など生じる事があります。

6.8以下では生命維持が難しくなります。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)における血ガスの特徴

前途してきたことをまとめると、

・慢性閉塞性肺疾患(COPD)は気流閉塞を特徴とする
・気流閉塞によりうまく息を吐き出せない
・二酸化炭素(CO2)が血液中に多く含まれる
・高炭酸ガス血症によりPHが酸性に傾く

通常、PaCO2の増加により、PHは酸性に傾くのですが、慢性閉塞性肺疾患ではPHの平衡が取れている場合があります。

それは、高炭酸ガス血症の長期化により、その状態に慣れる(腎性の代償が働いている)事によりPHのバランスが取れることがあります。

このような方では、換気不全による高炭酸ガス血症は急に発症したものではなく、慢性的に生じたものです。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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