目次
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運動と栄養の関係性
身体機能を向上させたい!日常生活能力を向上させたい!
そう考えた時に、ただ単に運動を行わせれば良いというものでもありません。
それはなぜかと言うと、対象者の全身状態が関係しています。
今回のテーマである栄養の観点からすると、低栄養状態で運動を積極的に行うと、逆に対象者の機能低下を引き起こしてしまう事があります。
低栄養を引き起こす要因の一つとして、「食欲低下」があります。
食欲低下の原因は様々ですが、その要因を分析し、栄養状態を改善する事が、積極的な運動による効果を期待できるようになります。
食欲低下の原因
食欲低下の原因にはいくつかの要素が考えられます。
・食習慣、環境
・嚥下機能低下
・がんや、手術、薬物療法、放射線治療などの治療の影響
・消化器系の症状(胃炎、吐き気、便秘、下痢など)
・身体症状(痛み、息苦しさなど)
・口腔内環境(味覚の変化、口内炎、口内の乾燥、入れ歯が合わないなど)
・精神的要因(不安、抑うつ、せん妄、ストレスなど)
原因を考えただけでも、上記のように多数の事が考えられます。
そのため、食欲低下の原因を詳細にアセスメントしながら、対策を講じて行く必要があります。
今回は、食欲低下の原因の中でも、味覚異常(味覚の変化)に焦点を当てていきたいと思います。
味覚異常の原因
加齢と味覚
食欲低下を生じさせる味覚異常の原因として、加齢による影響も考えられます。
歳を重ねるにつれて味覚の感受性が低下するとされています。
それは、味覚の閾値(味を感じさせるに必要な濃度の最小値)が変化するということです。
加齢により味覚細胞が減少すると、味の感受性が低下します。
つまり、味の感じ方に変化が起こるわけです。
そのため、以前と比較して味の感じ方に変化があるかを、それぞれの味(甘味、塩味など)について尋ねるようにする事が必要です。
味覚の感受性低下は、本人も気づいていない事があります。
薬剤や化学療法によるもの
薬剤には、副作用として味覚低下を生じさせるものがあります。
高齢者は多剤併用の方が多く、対象者の服用している薬剤の中に味覚低下を引き起こすものがないかを確認する事が必要です。
また、化学療法を受けている方においても、口腔内粘膜の変化や知覚の変化に加え、苦み以外の味覚が鈍感になる事が言われます。
温かい料理や魚料理の匂いが気になって食欲が低下するため、味のはっきりしたもの、温度のしっかりしたもの(温かい・冷たい)といった献立の工夫が必要である。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/27/3/27_885/_pdf/-char/ja
化学療法を受けた方は、治療終了後の味覚回復に半年程度要する方もいるようです(個人差あり)。
血液透析と味覚
透析を受けている方では、味覚低下が生じるとされています。
析患者の味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味の4基本味にうま味を加えた5基本味すべてにおいて健常者より
低下し、透析患者約100名のうち、水分管理不良群において舌環境の悪いものが多く、食塩感受性が低下して
いた。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/27/3/27_885/_pdf/-char/ja
栄養不足と味覚
味を感じるメカニズムは、舌にある「味蕾(みらい)」と言う組織によるものです。
味蕾には細胞の中に亜鉛が多く含まれており、これは比較的早いサイクル(10-12日)で細胞が新しくなります。
そのため、亜鉛が不足していると、味覚低下を引き起こす事が考えられます。
食事摂取量の低下による亜鉛不足や、胃腸機能の働きが低下する事で亜鉛の吸収が低下する事が原因となります。
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