目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
薬剤においては、服用している薬剤がどのような作用があり、一方でどのような副作用があるか、またそこから予測されるリスクを考える事で、リスク管理につなげる事が可能です。
また、患者様に用いられている医療機器があれば、その特徴と使用方法、誤用がないようにする事が求められます。
今回、看護・リハも知っておきたい尿・便失禁で皮膚荒れが生じる理由についてまとめていきたいと思います。
尿・便失禁とおむつ内の環境変化
尿・便失禁が生じると、おむつ内の環境は変化します。
高温多湿状態が続くことで、表皮のいちばん外側で、皮膚の最表面層である、角層は浸軟しやすくなります。
浸軟とは、「ふやける」ことです。
入浴した際に、長い時間お湯に浸かっていると指がふやけることを経験したことがある方は理解しやすいと思います。
これは、角質層が水分を含んだ状態になっているためです。
このような状態では、摩擦力が増大し、少しのズレによっても皮膚損傷のリスクが高まります。
尿・便失禁と皮膚炎
尿・便失禁(特に下痢便)が皮膚に付着すると、付着部の炎症の元になります。
排泄物が皮膚に付着して生じる皮膚炎は「失禁関連皮膚炎(Incontinence Associated Dermatitis;IAD)」と呼ばれています。
便には腸内細菌や胆汁が含まれています。
下痢便になると、腸内細菌が多く含まれ、アルカリ性に傾きます。
尿は、排尿後時間経過とともにアルカリ性に傾きます。
これは、尿素がアンモニアに分解されるためです。
このように、皮膚のPHがアルカリ性に傾くことで、皮膚のバリア機能は低下します。
すると、皮膚トラブルや皮膚炎などに繋がります。
また、おむつ使用者において、排泄のたびに洗浄や清拭を繰り返していると、皮膚表面の皮脂膜は減少していきます。
このような状態では、皮膚表面が乾燥するため、皮膚のバリア機能は低下します。
皮膚のバリア機能とは
皮膚のバリア機能は、皮膚表面の角層という部分が担っています。
「角層」は、表皮のいちばん外側である皮膚表面の層です。
健康的な皮膚は水分を保っていますが、バリア機能が低下した皮膚では角層が傷んで水分が外へ逃げ出すため、乾燥しやすい状態になっています。
よく、高齢者の皮膚を触らせてもらうと「カサカサ」「パサパサ」した状態になっているのは、バリア機能が低下している状態だというわけです。
バリア機能を低下させる要因は、外・内的要因に分類されます。
外的要因
・紫外線
・温度・湿度の変化
・摩擦・ずれ・圧迫による刺激
・排泄物などの刺激
・皮脂などの汚れ
・空気中のほこり・ゴミ
・化学物質
・石鹸・洗剤
内的要因
・病気などによる免疫力の低下
・加齢による新陳代謝の低下
・生活リズムの乱れ
・ストレス
上記のように、様々な要因が絡み合い、皮膚のバリア機能を低下させています。
バリア機能が低下した状態では、皮膚はダメージを受けやすい状態なので、スキンケアが大切だと言われているのはこのような理由からです。
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