目次
水・電解質異常についてのおすすめ記事
・血液データアセスメント-脱水と電解質の関係性-
・脱水のリスク管理-脳浮腫による後遺症や浸透圧性脱髄症候群-
・血液データアセスメント-脱水とBUN/Cre比-
・リハビリテーションと易疲労性-原因⑦脱水-
・リハセラピストも知っておきたい電解質輸液の種類と違い
・リハビリテーションとリスク管理-電解質異常と不整脈-
・リハビリテーションと易疲労性-原因③電解質異常-
リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
今回、看護・リハも知っておきたい血圧治療として、降圧薬の仕組みと働きについてまとめていきたいと思います。
血漿浸透圧の調整
血漿浸透圧の調整として、浸透圧が上昇すると、
・下垂体後葉からバソプレシンが分泌され、腎尿細管で水の再吸収が促進される
・口渇感が生じ、水分摂取が促される
といような2つの調節により血漿浸透圧が低下します。
上記の調節機構により、塩分・水分摂取量が変化しても血漿浸透圧は1~2%の変動に抑えられる事になります。
高ナトリウム血症の特徴
高ナトリウム血症は臨床では遭遇する機会は多くありません。
高ナトリウム血症が生じにくいのは、通常であれば水分摂取をして血清ナトリウム濃度を正常範囲に保とうとするためです。
高ナトリウム血症になりやすい状態は、自ら飲水できない状況(寝たきりなど)、尿崩症で口渇を感じない、もしくは自ら飲水できないといった事が考えられます。
頭部外傷により口渇感がなくなる、意識障害により水分摂取できない場合は注意が必要です。
高ナトリウム血症が生じるメカニズムとして
・過剰な塩分の摂取
・水の細胞内への移動
・水の体外への喪失または摂取不足
があります。
水の体外への喪失または摂取不足には、
・皮膚・消化管等腎以外からの喪失
・腎からの喪失
・口渇感の障害または口渇感は保たれているが水の摂取が困難
の3つのメカニズムが考えられます。
高ナトリウム血症の症状
高ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が145mEq/L以上の状態です。
主な症状としては、
・口渇
・水分多飲
・頭痛
・嘔吐
・痙攣
・倦怠感
・意識障害(重度の場合)
があります。
術後に尿崩症により適切な輸液が行われなかった場合、脳の体積が急激に減少することで、脳静脈の破綻で脳内出血やくも膜下出血につながる場合もあります。
尿崩症と抗利尿ホルモン
尿崩症は、尿の量を調節するホルモンである抗利尿ホルモン(ADH)の合成・分泌の障害によって、腎臓での水の再吸収が低下する結果、尿量が著しく増加します。
抗利尿ホルモンが作用しないことにより尿を濃くする事ができなくなり、薄い尿が出続けることになります。
すると、高ナトリウム血症になりやすくなります。
しかし、口渇が感じれる場合は水分摂取できるため、高ナトリウム血症を呈することは少ないと言えます。
高ナトリウム血症への対応
急性の高ナトリウム血症の治療では、以下のような対応が行われます。
急速な高Na血症の補正が必要で,5%ブドウ糖輸液で1~2 mEq/l/1時間の速さで24時間以内に正常範囲内の血清Na濃度に戻す
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/4/109_712/_pdf
慢性の高ナトリウム血症の治療では、以下のような対応が行われます。
慢性の高Na血症(48時間以上継続した場合と定義される)では,神経症状を生じることは少ない(多くの場合,高Na血症を来たす基礎疾患により神経症状を生じるため,純粋な慢性高Na血症の症状を評価するのは難しい).
しかしながら,手術前の高Na血症は,軽度であっても,正常血清Na濃度の患者と比較して合併症の頻度や致死率が増加することが報告されている.
慢性高Na血症では,前述したとおり,細胞内の浸透圧物質が増加しており,この状態で自由水を投与して急激に高Na血症を補正すると,特に幼児では脳浮腫が生じる.
そのため,小児では血清Na濃度の低下が10~12 mEq/l/日未満になるように補正するよう推奨されている.
成人では,急速な高Na血症による脳浮腫の報告例はなく,安全な高Na血症の補正速度も確立されていないが,安全性を考慮し,小児と同様に血清Na濃度の低下は10~12 mEq/l/日未満にするのが妥当であると考えられる
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/4/109_712/_pdf
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