看護・リハも知っておきたい慢性腎不全と透析療法-CKDの重症度分類と透析療法適応時期-

                     
        
                   
        
                   
      
       

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血液データや腎機能、透析についてのおすすめ記事

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。

病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。

今回、看護・リハも知っておきたい慢性腎不全と透析療法として、CKDの重症度分類についてまとめていきたいと思います。

腎臓の機能

腎臓の機能は主に4つあります。

一つ目は、尿を生成することにより、体液の量と組成の調節を行います。

二つ目は、体内での酸と塩基のバランスの調節を行います。

三つ目は、尿素やクレアチニンなどを体外に排出する(代謝産物の排泄)役割があります。

四つ目は、ホルモンの産生・調節の役割があります。

腎臓ではエリスロポエチンを分泌することで、赤血球の産生を促進します。

また、ビタミンDを活性化し、活性化ビタミンDに変換します。

他にも、レニンを分泌します。

レニンが腎臓の血流が低下することでレニンが分泌され、血圧を上昇させるホルモンに作用します。

体液の量と組成の調節酸と塩基のバランスの調節代謝産物の排泄は、尿生成や排泄によりその機能が果たされます。

このような腎臓の働きにより、体の体液の恒常性を維持しています。

腎臓の機能から考える腎不全の症状

腎機能が低下すると、老廃物を十分排泄できなくなり、このような状態を腎不全といいます。

なお、腎臓の働きが正常の30%以下に低下した状態が腎不全と定義されています。

体液の量と組成の調節(尿生成、老廃物の排泄)や代謝産物の排泄が困難になると、尿毒素の蓄積による尿毒症が生じる可能性があります。

末期腎不全(腎臓の働きが正常な腎臓の15%未満に低下)では、尿毒症により様々な症状が現れます。

主な症状としては、老廃物がたまることによるものと、水分が溜まることによるものがあります。

老廃物がたまることによる症状:
・食欲低下
・吐き気
・頭痛
・だるさ

水分がたまることによる症状:
・むくみ
・動悸・息切れ
・息苦しさ
・尿量の減少

その他の症状:
・脈の乱れ
・血管の石灰化
・血圧が高くなる
・貧血
・骨が弱くなる

酸と塩基のバランスの調節(水分・電解質(塩分)バランスの調節)が困難になると、浮腫や高カリウム血症による不整脈が生じます。

ホルモンの産生・調節が困難になると、エリスロポエチンの産生不足による貧血や、ビタミンD活性化不足による低カルシウム血症、血圧の調節が行えず高血圧が生じます。

これらのような、腎臓の機能と役割から、生じやすい症状が把握できるので、対象者のアセスメントを行う際のポイントとしてください。

慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)とCKDの重症度分類、透析療法の適応

CKD(慢性腎臓病)は、「腎臓の障害(蛋白尿など)、もしくはGFR(糸球体濾過量)60ml/分/1.73平方メートル未満の腎機能低下が3か月以上持続するもの」と定義されています。

CKDの重症度は原疾患や腎機能(GFR区分)、蛋白尿区分によって分類されています。

GFRが低く、蛋白尿が多いほど透析開始や心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞)のリスクが高くなります。

リスクの程度は色の違いで表され、緑→黄→オレンジ→赤の順にリスクが高くなります。

緑色部分(G1A1、G2A1)以外はすべてCKDと診断されます。

CKDの重症度分類
http://byoin.city.fuji.shizuoka.jp/bumon/shinryou/jinzou/ckd_2020.htmlより引用

GFRの値は推算GFR(eGFR)が使用されます。

Cr(クレアチニン)や尿素窒素(UN)が体外に排出できなくなると、eGFR(推算糸球体濾過量)の値が低下します。

これは、クリアランスと呼ばれる、どれだけ効率的に体外に老廃物を出すことができるかを示しています。

G5まで進行した場合は透析療法の適応される時期になります。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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