目次
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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
今回、看護・リハも知っておきたい慢性腎臓病(CKD)の4大原因疾患の病態理解についてまとめていきたいと思います。
慢性腎臓病(CKD)と重症度分類
CKD(慢性腎臓病)は、「腎臓の障害(蛋白尿など)、もしくはGFR(糸球体濾過量)60ml/分/1.73平方メートル未満の腎機能低下が3か月以上持続するもの」と定義されています。
CKDの重症度は原疾患や腎機能(GFR区分)、蛋白尿区分によって分類されています。
GFRが低く、蛋白尿が多いほど透析開始や心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞)のリスクが高くなります。
リスクの程度は色の違いで表され、緑→黄→オレンジ→赤の順にリスクが高くなります。
緑色部分(G1A1、G2A1)以外はすべてCKDと診断されます。
GFRの値は推算GFR(eGFR)が使用されます。
Cr(クレアチニン)や尿素窒素(UN)が体外に排出できなくなると、eGFR(推算糸球体濾過量)の値が低下します。
これは、クリアランスと呼ばれる、どれだけ効率的に体外に老廃物を出すことができるかを示しています。
G5まで進行した場合は透析療法の適応が検討される時期になります。
慢性腎臓病(CKD)の4大原因
糖尿性腎症
糖尿病の合併症は、主に3つあります。
・糖尿病性網膜症
・糖尿病性腎症
・糖尿病性神経障害
これら3つの合併症は、細小血管障害と言われています。
高血糖が持続すると、毛細血管や細小動脈に負担がかかり、障害が生じます。
細小血管障害を防ぐには、血糖コントロールを適切に行うことが大切になります。
糖尿病性腎症は、慢性的な高血糖により、腎臓にある糸球体系蹄の細小血管障害(糸球体の中の血管が狭くなる)により、糸球体が硬くなります。
すると糸球体の濾過機能が低下し、本来は尿中に濾過されないタンパク質が漏出するようになります。
高血圧性腎硬化症
高血圧性腎硬化症は、高血圧長期間にわたり続く事で、腎臓の血管に動脈硬化を起こし、腎機能低下を引き起こす疾患です。
高血圧が長く続くと、腎臓の糸球体へ血液を送る細動脈に圧力がかかり、血管内の細胞がそれに反応して増殖し、血管の内腔が狭くなり、これを細動脈硬化と言います。
高血圧性腎硬化症は良・悪性のものがあります。
良性のものは軽度または中等度の高血圧や老化によるものとしても発症します。
悪性のものは拡張期血圧が130mmHg以上の高血圧持続により発症します。
悪性の場合は急激に悪化する事が特徴です。
多発性嚢胞症
多発性嚢胞症は、両側の腎臓にできた多発性の嚢胞(液体が詰まった袋)が徐々に大きくなり、腎臓を圧迫する事で生じ、進行性に腎機能が低下します。
最も頻度の高い遺伝性腎疾患で、尿細管の太さ(径)を調節するPKD遺伝子の異常が原因で起こります。
修正前から新生児に発症する常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)と、40歳前後での発症が多い常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)があります。
多くは成人になってから発症し、70歳までに約半数が透析を必要とします。
慢性糸球体腎炎(IgA腎症)
腎臓にある糸球体の炎症により、タンパク尿や血尿が出る病気を総称して糸球体腎炎と呼びます。
慢性糸球体腎炎は、タンパク尿や血尿が少なくとも1年以上持続するものをいいます。
慢性糸球体腎炎の原因は様々なものがありますが、免疫グロブリンA(IgA)が糸球体に沈着して生じるものをIgA腎症と呼びます。
IgA腎症は比較的若い年代に見られやすく、ゆっくりと時間をかけて進行するのが特徴です。
発症から20年でおおよそ30-40%の方が末期腎不全により透析療法の対象になるとされています。
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