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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
また対象者の画像情報からも、フィジカルアセスメントと一致した初見が見られないかなど、有用な情報を得ることが可能になります。
そして、ある程度知識を覚えておく事で、なぜそのような状態になるのかというアセスメントの材料が多くなります。
今回リスク管理に活かす脳ヘルニアと midline shiftの関係性方についてまとめていきたいと思います。
脳ヘルニアとは
脳ヘルニアは、脳浮腫や血腫により頭蓋内圧が異常亢進した場合に、脳組織が一定の境界を越えて隣接腔へ嵌入した状態です。
脳浮腫は発症後数時間から数日にかけて生じ、ピークは2〜4日(もしくは3〜7日)と言われています。
脳浮腫重症化すると、頭蓋内圧が亢進し、脳ヘルニアに移行することがあります。
頭蓋内圧亢進症状
急性期:
激しい頭痛、悪心・嘔吐、クッシング現象(徐脈、血圧上昇)、意識障害、網膜出血、散瞳、けいれん
慢性期:
頭痛、悪心・嘔吐、視力障害、めまい、うっ血乳頭、外転神経麻痺、記憶障害、人格変化、尿失禁、歩行障害、認知機能低下
脳ヘルニアと脳幹へのダメージ
脳幹は、意識と生命維持の役割を担う場所です。
脳幹へのダメージは、脳幹が直接損傷された場合と、前途した脳ヘルニアによる関節的なダメージに分けることができます。
脳ヘルニアにより脳幹が圧迫されると、脳幹にダメージが与えられ、意識状態の悪化や最悪の場合、呼吸停止といったことにもつながることがあります。
脳ヘルニアが疑われる所見があれば、基本的には緊急手術が必要になります。
脳ヘルニアの種類
脳ヘルニアは、嵌入する部位によっていくつか種類があります。
・テント切痕ヘルニア(中心性ヘルニア)
・上行性テント切痕ヘルニア
・大脳鎌ヘルニア(帯状回ヘルニア)
・テント切痕ヘルニア(鉤ヘルニア)
・大後頭孔ヘルニア(小脳扁桃ヘルニア)
・蝶形骨縁ヘルニア
これらのうち、テント切痕ヘルニアと大後頭孔ヘルニア(小脳扁桃ヘルニア)は脳幹を圧迫し、関節的ダメージを与えることがあります。
midline shiftとは
midline shift(正中偏位)は、脳の左右対称性が失われている状態です。
通常、脳は大脳鎌という膜を中心に、左右対称な形をしています。
出血や腫瘍、脳浮腫などがあると脳圧亢進を招き、この膜を押しやることで膜の中心がずれてしまいます。
midline shift(正中偏位)が脳画像上で確認されるということは、脳幹への間接的なダメージを引き起こすことが考えられるので、全身状態の急変に備えておく必要があります。
嘔吐やクッシング症候(高血圧、頻脈)の出現には注意が必要です。
テント切痕ヘルニアでは瞳孔不同や対光反射の消失も出現してきます。
midline shiftと頭部CT画像
上図を確認すると、赤色が本来の正中線なのですが、急性硬膜化血腫により脳が右側に押しやられていることがわかります。
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