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リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
また対象者の画像情報からも、フィジカルアセスメントと一致した初見が見られないかなど、有用な情報を得ることが可能になります。
そして、ある程度知識を覚えておく事で、なぜそのような状態になるのかというアセスメントの材料が多くなります。
今回、皮質下出血による意識障害の捉え方についてまとめていきたいと思います。
「意識」と「意識障害」について
「意識障害」とは、意識の清明度が失われている状態です。
「意識清明」については以下のように定義されています。
外界の事物を正確に認識し、周囲に適切な注意を払い、外界からの刺激や情報を的確に受け取って理解し、目的にかなった思考に基づき、適切に行動し対処することのできる平常の覚醒状態をいう
脳卒中最前線 第3版 P215
覚醒状態で意識内容が明瞭、現状の認識がしっかりとできており、思考や判断が保たれ、合目的的な行動が可能で、それを記憶にとどめておける状態と言うことになります。
意識清明状態の客観的指標は、見当識が良好なこと、課題に対しての熟考が可能なこと、記銘力が良好なことと、追想が可能なことなどがあります。
意識障害の状態では、「入ってきた情報を処理し、アウトプットする」ことができなくなります。
入力された情報を処理してアウトプットする部位は、連合野(前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野)です。
大脳皮質において、連合野が損傷されると、入ってくる情報はたくさんあっても、処理する場所がなくなるのでアウトプットできなくなります。
広範囲の脳損傷では連合野が障害されることもあり、意識障害が生じやすくなります。
通常、意識障害が生じるのは両側性に損傷を受けた時です。
大脳皮質と認知の障害
意識障害では、入ってきた情報を処理し、アウトプットすることができなくなる状態と説明しました。
意識には、このような認知、すなわち自分と外界情報の正確な把握の役割があります。
また、我々がイメージしやすい「覚醒レベル」と言う意味での意識もあり、2種類の意識の役割が考えられることになります。
皮質下出血による意識障害としては、認知の障害が生じます(脳幹レベルでは覚醒度の問題が生じる)。
そのため、皮質下出血では、
・会話のちぐはぐさ
・動きの緩慢さ
・ぼーっとする
・普段と様子が異なる
といった症状として現れます。
どの連合野(前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野)が損傷を受けるかによって、症状の出現には差があります。
詳しくは、以下の記事を参照してください。
リハビリテーションで役立つ!頭頂葉,側頭葉,後頭葉損傷により生じる症状の一覧
大脳皮質の損傷と急変リスク
対象者に意識障害がある場合、命を守る上で確認しないといけないことは「A・B・C」の確認です。
「A」とは、「Airway(気道)」のことです。
「Airway(気道)」では、気道が開通しているか、異常音はないかを確認する必要があります。
「B」とは、「Breathing(呼吸)」のことです。
「Breathing(呼吸)」では、呼吸回数、左右差、呼吸様式を確認する必要があります。
「C」とは、「Circulation(循環)」のことです。
「Circulation(循環)」では、脈の強弱、皮膚色・性状や発汗などを確認する必要があります。
皮質化出血の場合、上記3つに影響することはないと考えられるため、急変リスクは少ないことが考えられます。
ただし、midline shift(正中偏位)がある場合には注意が必要です。
midline shift(正中偏位)についてですが、大きな血腫の場合は、脳実質を強く圧迫している可能性があります。
強い脳実質の圧迫があると、術後すぐに状態良くならない場合もあります。
圧迫されていた部分の血腫が除去されることで脳浮腫を起こす可能性があります。
傾眠傾向や意識レベルの低下、運動麻痺継続の可能性もあるため、画像所見で確認する事が必要になります。
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