目次
便秘症や薬物療法についてのおすすめ記事
- 科学的根拠に基づく便秘解消-食物繊維摂取-
- 便秘を防ぐ!腸管運動促進のためのリハビリテーション
- リハ・看護・ケアと栄養-食欲低下の原因⑥消化器系の症状-
- リハセラピストは知っておきたい解熱鎮痛薬の種類と特徴
- リスク管理に役立つ睡眠薬の種類と使用時の注意点
薬剤とリスク管理
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
薬剤においては、服用している薬剤がどのような作用があり、一方でどのような副作用があるか、またそこから予測されるリスクを考える事で、リスク管理につなげる事が可能です。
今回、便秘症と薬物療法として、薬剤の種類と服用タイミング、副作用の注意点などについてまとめていきたいと思います。
便秘と日常生活への影響
便秘があると日常生活に様々な悪影響を及ぼします。
便秘は、長期間便が溜まっている状態です。
すると、腸内では悪玉菌が増殖し、匂いの元になります。
便秘は自律神経の乱れが原因となりますが、便秘によるストレス等が自律神経の乱れを引き起こし、様々な自律神経症状を引き起こしてしまう事があります。
便秘の種類
便秘にはいくつかの種類があります。
一つ目は、弛緩性便秘です。
弛緩性便秘は、結腸の筋肉が緩んで、蠕動運動が弱苦なり、便を送り出しにくくなっている状態です。
弛緩性便秘は、活動量が低下している方に多く見られます。
二つ目は、痙攣性便秘です。
痙攣性便秘は、筋の緊張状態が続き、蠕動運動が強くなりすぎる事で便が滞留し、便を送りにくくなっている状態です。
痙攣性便秘は精神的緊張(不安やストレス)が高まっている方に多く見られます。
三つ目は、直腸性便秘です。
直腸性便秘は、便が直腸にたどり着いても、肛門の機能障害により、便が排泄されず、便意も起こらなくなる状態です。
便秘の原因
一般的な便秘の原因として、以下の要因があります。
・水分不足
・食物繊維摂取不足
・腸の動きが弱い
・運動不足
・過度の緊張やストレス
・便意の慢性的な我慢(排便反射の鈍化)
便秘薬の使い分け
便秘症の薬物療法としては、まずは非刺激性下剤が用いられます。
また、救急的に対応できるように、刺激性下剤を用います。
効果が不十分な場合は、気質的疾患を除く慢性便秘症に適応のある薬剤も用います。
便秘薬の種類と特徴、使用における注意点
浸透圧性下剤(塩類下剤)
代表的なものとしては、一般名が酸化マグネシウムである「マグミット」があります。
浸透圧を利用することで便が柔らかくなります。
副作用として、高マグネシウム血症があります。
高マグネシウム血症では、嘔吐、徐脈、筋力低下、傾眠などに注意する必要がります。
刺激性下剤
代表的なものとしては、一般名がセンノシドである「プルゼニド」があります。
大腸の蠕動運動を促進する働きがあります。
蠕動運動亢進により腹痛を生じることがあります。
長期的な使用では耐性を生じるため、レスキュー的な使用が一般的となっています。
作用が生じるまでは8-10時間程度かかるので、睡眠前に使用し、翌朝排便できるように用います。
新規便秘症治療薬
新規便秘症治療薬にはいくつか種類があります。
浸透圧性下剤として、一般名がマクロゴール4000である「モビコール」があります。
浸透圧を利用することで便が柔らかくなります。
服用時間はいつでも可能で、2歳以上に使用することが可能です。
ショックやアナフィラキシーが生じることがあるので注意が必要です。
上皮機能変動薬の一般名ルビプロストンである「アミティーザ」や、グアニル酸シクラーぜC受容体作動薬の一般名リナクロチドである「リンゼス」は、腸管内に水分分泌を促すことで便の性状を柔らかくします。
ルビプロストン(アミティーザ)は、空腹時の服用は吐き気が出現しやすくなります(食後に服用)。
リナクロチド(リンゼス)は食後の服用では下痢が起こりやすくなります(食前に服用)。
胆汁酸トランスポーター阻害薬の一般名エロビキシバッドである「グーフィス」は、便の軟化や大腸蠕動運動の促進させます。
オピオイド誘発性便秘症治療薬
オピオイド鎮痛薬を使用することで起こる便秘に対しては、一般名ナルデメジンである「スインプロイク」が使用されます。
鎮痛効果を軽減させることなく排便を促すことが可能です。
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