目次
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リハビリテーションとリスク管理
リハビリテーション実施のためのリスク管理としては、全身状態の管理と、対象者に付いているルートといった医療器具などの管理(外れないように、抜けないように)があります。
医療器具の管理としては、操作方法、エラー時の対応、運動の際に器具が外れないかなどといった視点をあらかじめ持っておく事が重要になります。
今回、リハビリテーションとリスク管理として、気管切開とカニューレについてまとめていきたいと思います。
気管切開について
気管切開とは、気管とその上部の皮膚を切開してその部分から気管にカニューレを挿入する気道確保方法です。
気管切開は、両側声帯麻痺や頭頸部腫瘍などの上気道閉塞や長期間にわたる人工呼吸管理、気道分泌物による換気障害、誤嚥などにおいて選択される事があります。
気管切開とカニューレのリスク管理
自己抜去の可能性は?
私の経験上、カニューレを自己抜去する方は見た事がありません(重症な方に使用している事が多い事もあり)。
しかし、管カニューレは、外れる、抜けるなどの状態が続くと、低酸素状態に陥る、ろう孔が狭くなる、塞がるな
ど重大なことにつながる可能性があります。
もし、自己抜去がある方の場合は、リハビリ中に長時間本人の元から離れないように心がける、離れる必要のある場合は、他者に声をかけ見守りをしてもらうなどの対応が必要です。
リハビリ開始前にはカニューレの固定をしっかりと確認しておき、必要時には手の抑制や手袋を用いるなども検討が必要です。
抜けた時の緊急対応の確認もしておきます。
気管切開カニューレが抜けてしまったらどうする?
もし、何らかの原因により気管切開カニューレが抜けてしまった場合はどう対応すれば良いでしょうか。
その場合、自発呼吸があれば気管切開孔に酸素マスクを当てて、酸素投与を行います。
自発呼吸がない場合、気管切開孔をガーゼで覆い、バッグバルブマスクを使用し酸素投与を行います。
私自身、移乗の際に気管切開カニューレに肩が当たってしまい、外れてしまうという苦い経験がありました。
呼吸困難感に伴い、みるみるうちにチアノーゼが出現した事を思い出します。
その時は、すぐさま病棟に戻り処置をしてもらいました。
カニューレ固定のヒモやホルダーが緩くなっていないか常に確認しておく事も重要なポイントになります。
カニューレに無理な力が伝わらないようにする
気管に無理な力が加わると、気管の壁を傷つけ気管内肉芽や出血が生じる可能性があります。
そのため、気管切開カニューレの先端が強く気管にあたるようなことを避ける必要があります。
頸部の過伸展・前屈・左右回旋は行わないようにします。
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