目次
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リハビリテーションとリスク管理
リハビリテーション実施に際には、対象者の病態を把握することで、対象者の状態に応じたリスク管理項目を選定する事が可能です。
まずは、対象者が患っている疾患の理解が求められます。
疾患の理解が進むと、なぜその症状が出現するのか、出現した時にはどのように対応するのか、全体像を捉えるためにはどのようなデータを収集すれば良いのかといった事が考えやすくなります。
その情報をもとに、リハビリテーションの運動処方内容を決定する事で、リスク管理に基づいたリハビリテーションを提供する事ができます。
今回、リハビリテーションとリスク管理の中でも、舌根沈下の理解と対応についてまとめていきたいと思います。
舌根沈下とは
舌根沈下とは、舌の基部が後下方に落ちることで、気道閉塞症状である低酸素発作、哺乳障害、吸気性喘鳴などの症状を認める病態です。
舌根沈下の原因としては、肥満による首回りの脂肪沈着、扁桃肥大、舌が大きい、鼻炎・鼻中隔弯曲、あごの後退、あごが小さいなどがあります。
脳卒中による筋緊張異常(低緊張)でも舌根沈下は生じる事があります。
低緊張による下顎・舌根の沈下は、睡眠時に強く出現し、喘鳴、陥没呼吸、閉塞性無呼吸、酸素飽和度の低下などをきたす事があるため注意が必要です。
「ゴーゴー」、「カーッカーッ」というような音が、基本的に吸気時に生じます。
なお、緊張亢進による頚部過伸展では、下顎後退・舌根後退、喉頭狭窄が生じやすくなります。
舌根沈下にはどう対応するか
舌根沈下があると、上気道を閉塞してしまい、呼吸困難等に繋がってしまいます。
上気道の狭窄に対しては、下顎を前に出して上気道を広げる(顎を前に出すイメージ)ことが基本的な対応です。
肩枕は頸部を過伸展させ、かえって上気道を閉塞させることがあるため注意が必要です。
舌根沈下と姿勢
背臥位は、下顎・舌根が後退・沈下しやすいしやすい姿勢になります。
また、顎や肩を後退させるような緊張が出やすい事が特徴です。
腹臥位は、舌根の沈下や、唾液や痰がのどにたまることを防ぐことができる姿勢です。
喉頭部の狭窄も軽減しやすい事が特徴です。
しかしながら、大人の脳卒中者を腹臥位に体位変換させる事は困難な事があります。
そのため、舌根沈下には側臥位をとる事で対応する事が多くあります。
側臥位は、舌根沈下や唾液や痰が気道にたまることを防ぎ呼吸が楽にしやすい姿勢です。
体位変換も行いやすいことから、舌根沈下への対応として側臥位を選択する事は多くあります。
なお、座位になる時、リクライニング車椅子を使用する際には、リクライニング角度により頭頸部が後屈しないように注意する必要があります。
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