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高齢者と腸管運動
高齢者では、腸管運動が低下し、消化や吸収機能低下や腹部膨満感、便秘による食欲不振が生じることがあります。
また、ICU入室患者様や長期臥床傾向にある患者様も、同様に腸管運動が低下し、悪影響を与えることが指摘されています。
今回、高齢者における腸管運動促進のためのリハビリテーションについてまとめていきたいと思います。
腸の働きと役割
最近、腸内細菌の重要性が、メディアでよく取り上げられています。
それだけ腸の働きと役割が、我々が生活する上では重要と捉えられているためです。
腸には、免疫細胞のうち、約6割が存在しているとされています。
腸の機能低下が起こると、免疫機能が低下しやすくなり、様々な病気にかかりやすくなります。
腸の機能低下により生じやすいものを以下に挙げていきます。
・におい
・風邪をひきやすい
・栄養素の吸収不良
・肥満
・代謝の低下
・浮腫
・生活習慣病
・肌荒れ
・便秘
・下痢
かなりの数の症状が上がりましたが、便秘や下痢は、腸の蠕動運動の問題が生じることで起こりやすくなります。
小腸では栄養素の吸収、大腸では便の形成と体外への排泄を行います。
腸はセロトニンの分泌を行っているとの報告もあり、精神的な不調(うつなど)にも関わっています。
「インクレチン(インスリンの分泌を刺激)」の産生を腸内細菌が行うなど、生活習慣病にも関わっています。
腸の働きと自律神経の関係
腸の働きは、自律神経の働きに左右されます。
自律神経には交感神経と副交感神経あります。
腸の蠕動運動は、交感神経優位では運動が生じにくく、副交感神経が優位では運動が生じやすくなります。
副交感神経はリラックスしている時に優位になりやいことから、いかにストレス因子を取り除いて、リラックスした状態を作れるかということも重要になります。
腸管運動促進のためのリハビリテーション
腸管運動促進のためのリハビリテーションとして、
「The effect of a physiotherapy intervention on intestinal motility」
が参考になります。
この研究では、健康な成人を対象に、下肢・体幹の受動的運動および併用療法の腸管音に対する効果を、従来の温熱療法と比較しています。
他動的下肢・体幹運動により、腸管運動が活性化されることが確認されたことから、何らかの理由により自発的な活動が行えない方に対して、他動的下肢・体幹運動を行うことにより腸管運動改善が期待できる事が示唆されました。
併用療法では、ホットパックを腹部に当てながら他動的下肢・体幹運動を行っています。
臨床場面では、多くの対象者で便秘の訴えを聞くことがあります。
便秘によって体全体の不調を訴えたり、食欲低下を招くなどの弊害もあることから、腸管運動促進のためにコンディショニングも含めたリハビリテーションを提供することには意義があると考えられます。
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