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リハビリテーションとリスク管理
リハビリテーションにおけるリスク管理では、バイタルサインを基本としながら運動処方を行なっていくと思います。
他にも、心電図や血液データ等を参考にすることもあります。
血液データでは、運動量決定のために血清アルブミン値を参考したり、血栓の指標としてD-ダイマーを参考にしたりすることがあるでしょう。
このように、バイタルサインだけを見ていてはバイタルサインに影響を与えている要因を考えることは難しくなります。
今回は、リハビリテーションとリスク管理としてカルシウム異常に着目していきたいと思います。
低カルシウム血症、高カルシウム血症で出現しうる症状
低カルシウム血症とリスク管理
低カルシウム血症は、血中カルシウム濃度8.5mg/dL未満と不足している状態です。
低いカルシウム血症の症状としては、不整脈や筋肉のけいれん、手足の感覚障害など生じやすくなります。
これらの症状は、重度の低カルシウム血症の指標である2.6mg/dL未満で生じやすくなります。
低カルシウム血症が軽度である場合、心電図にてQT時間(Q波が出始めてからT波の終わりまで)が延長します。
QT時間の延長があると、Torsade de pointes(トルサード・ド・ポワンツ⇨致死性の心室頻拍)や心室細動などの致死性不整脈が生じやすくなります。
なお、QT時間の延長は低カリウム血症、低マグネシウム血症でも生じることがあります。
低カルシウム血症では、カルシウム流入の際に働く電位依存性カルシウムチャネルが開きにくくなり、カルシウム流入に時間を要することになり、ST部分が延長することによってQT延長となる事が言われています。
低カルシウム血症の状態にある方のリハビリテーションでは、運動内容や量に注意する必要があります。
何故ならば、運動による交感神経の活性化により不整脈が生じやすくなる可能性が高まるからです。
高カルシウム血症とリスク管理
次に、高カルシウム血症を見ていきます。
高カルシウム血症は、血清カルシウム濃度が10.3mg/dL以上だとされています。
ただし、症状の出現としては12.0mg/dLまではほぼ無症状となりますが、非特異的な症状として便秘、倦怠感、抑鬱などが生じる可能性があります。
12-14mg/dLでは多尿、多渇、脱水、食欲不振、嘔気、筋力低下、知覚異常などが生じます。
14mg/dL以上では傾眠、意識混濁、昏睡が生じます。
リハビリテーションとリスク管理の側面からは、筋力低下や易疲労性を考慮した負荷量を設定する必要があります。
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