目次
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リハビリテーションと易疲労性
リハビリテーション場面で遭遇する易疲労性ですが、その原因を考えているでしょうか。
例えば、脳卒中片麻痺者で高次脳機能障害がある場合に、運動機能低下による筋疲労や全身持久力低下からくるものとは考えやすいでしょう。
しかしながら、高次脳機能障害がある場合にも、この易疲労性というのは生じる可能性があります。
また、高次脳機能障害では心理面にも影響することから、その面における疲労しやすさも考えて行く必要があります。
今回、易疲労性の原因となり得る高次脳機能障害との関係性について考えていきたいと思います。
高次脳機能障害について
高次脳と言う概念があるので、もちろん低次脳と言う概念もあると思っていたのですが、はっきりと定義としては出てこないです。
生命維持という視点で考えた場合に、まずは低次の脳機能が必要なのは言うまでもありません。
ここで言う低次の脳機能とは、
・呼吸や循環に関するもの
・感覚や覚醒に関するもの
・運動や姿勢に関するもの
・摂食や嚥下に関するもの
があります。
これらが成立している上で、高次脳と言う概念があります。
高次脳について、以下のような考え方があります。
人や動物において,感覚系から入力された情報は分析・統合されたのち記憶として脳内に貯蔵される.
https://www.jarm.or.jp/nii/rihanews/No08/RN0816BD.HTM
この貯えられた情報に基づいて行動を計画し,実行する脳の働きが高次脳機能である.
これには,知覚,注意,学習記憶,概念形成,推論,判断,言語,および抽象的思考などが含まれる.
さらに高次機能を営んでいる脳の構造は,大脳皮質運動野と感覚野間に介在する連合野であると説明している.
上記のように、我々が社会生活を営む上で必要不可欠な脳機能が、高次脳と言う概念として言われています。
高次脳機能障害は、以下のような概念です。
「高次脳機能障害」という用語は、学術用語としては、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、 この中にはいわゆる巣症状としての失語・失行・失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれる。
http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/rikai/
これらの機能障害があると、日常生活や社会生活を遂行する事において何らかの不自由さや困難さを生じやすくなります。
高次脳機能障害と易疲労性
高次脳機能障害においては、神経疲労という概念を理解しておくと、疲れやすさの原因を捉えやすくなります。
神経疲労というのは、別名精神疲労とも呼ばれています。
脳が損傷を受けてしまうと、精神的エネルギーを使い果たしてしまいやすくなる傾向が見られることがあります。
その傾向は認知課題(頭を使う課題)の後に出現し、頭痛やめまい、目の痛み、姿勢の崩れなどが出現することがあります。
このように、高次脳機能障害をお持ちの対象者は耐久性に乏しく、疲れやすいという特徴があります。
そのため、易疲労性がある方では、積極的に休息を取ることが求められます。
また、ストレス耐性の低さもあるため、周囲の理解や環境調整を行い、ストレス因子をできるだけ取り除くような工夫が必要です。
高次脳機能障害における心理反応と疲労
高次脳機能障害では、日常生活を自立して送るために、自身の障害を理解し、認識力を高めて行くことが必要になります。
その過程で、自身の障害像が把握できるようになってくると、気分の落ち込み等、精神的な負のダメージを受けることも少なくありません。
そのような心理反応によって、抑うつ的な状態になる方もいます。
抑うつ状態では、ストレス耐性の低さに加えて、認知機能の働きも低下するため、脳内の情報処理に問題が出現しやすくなります。
すると神経疲労が生じやすくなります。
また、そのような心理反応によって食欲低下や低活動状態になると、身体的な疲労も感じやすくなります。
高次脳機能障害の方には、心理面でのサポートが必要と言われるのはそのような理由からです。
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