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高齢者と筋肉量低下
我々は加齢とともに筋肉量が減少していきます。
高齢者では筋肉量の減少が引き金となり、転倒などにより日常生活上に支障を来すことが多くなります。
近年、「サルコペニア」という概念が、加齢とともに出現するものとしてと良く聞かれます。
サルコペニアは、筋肉量や筋力が一定以上に減少する病態です。
サルコペニアの原因は様々ですが、中でも不活動によるもの、摂取栄養不足が原因となるものは改善できる可能性が高くなります。
日本人の平均寿命は年々伸びていますが、健康的に過ごす事ができる「健康寿命」をいかに引き伸ばせるかがポイントです。
そのためには、筋肉量の低下を防ぎ、転倒しない筋力、バランス力を保つ事が重要になります。
高齢者は筋肉合成を効率よく行うために必要な事
簡単に言うと、
・食事
・運動
・睡眠
をバランスよく行う事です。
筋肉の合成を効率よく行うためには、たんぱく質の摂取が何よりも需要です。
また必須アミノ酸が、特に効率的な筋肉の合成に必要と考えられています。
健康的な高齢者においては、食事により十分なたんぱく質を摂取できている事が多いですが、前途したサルコペニアの方では、食事により十分なたんぱく質摂取が行えていない事が多くなります。
特に、朝食におけるたんぱく質摂取が不足している事が多いので、プロテインやサプリメントの摂取により不足分を補う事が推奨されています。
高齢者における運動とたんぱく質摂取のタイミングはいつが良いのか
一般的に,運動直後のアミノ酸・タンパク質摂取が有用とされているが,対象が高齢者の場合には必ずしもこの方法が最適とは言えない.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/56/3/56_56.217/_pdf
若年者、高齢者とも、運動直後にアミノ酸を摂取することで、筋肉の合成が効率よく行われるとされています。
しかし、たんぱく質摂取となると、血中アミノ酸濃度(これが高いほうが筋肉の合成が行われやすくなる)が高くなるのが若年者では1時間、高齢者では2-3時間かかると言われています。
このことから、高齢者の場合、運動直後のタンパク質摂取が効率的に筋肉の合成がなされるかと言うと、疑問符が投げかけられています。
そのため、1日3食のタンパク質摂取をバランスよく行うことで、1日の中での血中アミノ酸濃度を常に高くしておくような工夫が必要になります。
なお、必須アミノ酸の中でも特に重要だとされているのが「ロイシン」であり、これは乳製品(牛乳やチーズ)に多く含まれています。
乳製品を積極的に摂取することが、高齢者の筋肉量低下を防ぐために重要と言えます。
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