目次
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便秘と日常生活への影響
便秘があると日常生活に様々な悪影響を及ぼします。
便秘は、長期間便が溜まっている状態です。
すると、腸内では悪玉菌が増殖し、匂いの元になります。
便秘は自律神経の乱れが原因となりますが、便秘によるストレス等が自律神経の乱れを引き起こし、様々な自律神経症状を引き起こしてしまう事があります。
排便姿勢と直腸-肛門角
スムーズな排便姿勢を考える際には、排便姿勢における直腸と肛門のがなす角度を知る必要があります。
便座に座位を取る排便姿勢と、蹲踞の姿勢(いわゆるうんこ座り)を比較してみます。
便座に座位を取る排便姿勢では、直腸と肛門のなす角度は大きくなります。
一方、蹲踞の姿勢では直腸と肛門のなす角度は小さくなります。
蹲踞の姿勢では、直腸と肛門がより一直線上に並びやすくなるため、排便しやすい姿勢と言えます。
排便における筋肉の作用
排便では、便を押し出す力が重要で、それを助けてくれるのが腹圧です。
腹圧をかけられないといきめないので、排便しにくくなります。
よく、脳卒中の方や脊髄損傷の方で腹圧をかけにくい方では、排便がスムーズにいかないことを経験します。
腹圧をかけることによって、骨盤腔は縮小するので、排便に有利になります。
また、重力を利用することも大切です。
重力を利用しやすくするには、直腸と肛門が一直線上になる事が必要で、その時に肛門括約筋を弛緩させることがベストだという事になります。
様々な排便姿勢と排便のしやすさの違い
立位
立位姿勢は、姿勢保持の際に働く抗重力筋が常に働いている姿勢です。
立位姿勢で排便をする機会はなかなかないとは思いますが、排便姿勢と排便のしやすさを考える際には、抗重力筋の影響を考慮することも必要です。
直立立位姿勢では、体の後面にある脊柱起立筋(主に多裂筋)は骨盤前傾に、ハムストリングスは骨盤後傾に作用することで骨盤が正中位に保たれるので、骨盤底筋は収縮しやすい姿勢になります。
座位(まっすぐ座る)
まっすぐに姿勢を正した便座座位では、脊柱起立筋(主に多裂筋)は骨盤前傾に作用します。
体の後面にあるハムストリングスや大臀筋の作用(股関節を伸展させる)は、座位では股関節が屈曲位となっているため作用はしません。
体の前面にある大腿直筋のは前方方向に作用し、骨盤に垂直に働く外力が減少するため、立位と比較すると排便が行いやすい姿勢になります。
座位(体を前に傾ける)
いわゆる「考える人」像のような姿勢で、便座上座位で体幹を前傾させている姿勢です。
体幹を前傾させる事で脊柱起立筋の働きは弱くなります。
また、体幹前傾する事で腹筋群の起始と停止の距離が短くなるので、より腹圧がかけやすくなり、排便がスムーズに行われやすい姿勢と言えます。
蹲踞の姿勢(うんこ座り、ヤンキー座り)
蹲踞の姿勢では、体幹は前傾しているので脊柱起立筋の働きは弱くなります。
また、体幹前傾する事でまた、体幹前傾する事で腹筋群の起始と停止の距離が短くなるので、より腹圧がかけやすくなり、排便がスムーズに行われやすい姿勢と言えます。
なお、先ほどの便座上で体を前に傾けた座位よりも腹筋群の起始と停止の距離が短くなるため、さらに腹圧がかかりやすくなります。
蹲踞の姿勢では骨盤腔が最大限に縮小された姿勢になります。
臥位
臥位は最も排便がしにくい姿勢です。
この姿勢では腹圧が高めにくく、重力を利用できないためです。
便座での排便をスムーズに行うための工夫
便座での排便をスムーズに行うための工夫としては、足台を用いる事です。
足台は牛乳パックに新聞紙を詰めたものや少年ジャンプなどの分厚い漫画雑誌でも代用できます。
足台を用いる事で、蹲踞の姿勢に近づけることができます。
すなわち、直腸と肛門のなす角度は小さくなり、直腸と肛門がより一直線上に並びやすくなるため、排便しやすい姿勢になります。
また体幹を前傾させる事により、より腹圧が高まりやすくなるため、排便しやすくなります。
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