目次
脱水についてのおすすめ記事
・血液データアセスメント-脱水と電解質の関係性-
・脱水のリスク管理-脳浮腫による後遺症や浸透圧性脱髄症候群-
・血液データアセスメント-脱水とBUN/Cre比-
・リハビリテーションと易疲労性-原因⑦脱水-
リスク管理のコツ
リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。
病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。
今回、看護・リハも知っておきたい脱水として、脱水が生じやすい状態と観察ポイントについてまとめていきたいと思います。
溢水と脱水
「溢水」は、正常範囲よりも身体の中に水分が溜まり、体液量が過剰になっている状態です。
一方、「脱水」は、正常範囲よりも体液量が減っている状態です。
通常は、水分のINとOUTは同程度になるのが健康的な状態ですが、溢水や脱水ではそのバランスが崩れます。
溢水では、INが増加する、もしくはOUTが減少する事で生じます。
その原因としては、主に過剰な補液(INの増大)や心不全や腎不全によるOUT量の減少などがあります。
脱水では、INが減るもしくはOUTが増える事で生じます。
その原因としては、水分摂取低下や下痢、嘔吐、熱傷、利尿薬投与などによるOUT量の増大などがあります。
脱水と体液減少
脱水を考える場合、人間の体液量について知っておく必要があります。
人間は構成要素のうち60%が水分でできています。
そのうち2/3が細胞内液で、1/3が細胞外液となっています。
細胞外液のうち3/4が間質に存在し、1/4が血管内に存在します。
脱水というと、水が減少するパターンと細胞外液が減少するパターンがあります。
脱水が生じやすい状態
脱水、すなわち体液量が減少しやすい状態について考えて行きます。
一番わかりやすいものは「出血」です。
急性腎障害では、回復経過として発症期、乏尿期、回復期に分けられています。
回復期になると,多くの症例は利尿期に入り,尿量が増加し,1 日尿量が3,000 ml日以上の多尿となる傾向を示す.
血清クレアチニン,BUNは徐々に低下し尿毒症状態が改善される.
時として,多尿のために脱水傾向となり,血圧低下,低K血症などを呈することがあるので水電解質バランスに注意が必要である.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/99/5/99_924/_pdf
腎後性腎不全解除後の利尿期の方も脱水に対して注意が必要です。
利尿薬を使用している方で、さらに高齢者の方では、夏場の脱水に注意する必要があります。
高齢者においては、口渇中枢の感受性低下や頻尿を考慮した心理的要因、筋肉量減少による水分貯蔵量減少、基礎代謝量減少、腎機能低下、食欲不振等により脱水状態になりやすいという特徴があります。
中心静脈栄養の方も脱水に対して注意が必要です。
静脈から高カロリー輸液で栄養を投与すると、グルコースが静脈血に直接入るため、血糖値が急に上昇しやすくなります。
高血糖状態により血液中のブドウ糖が多くなると、血液が濃くなります。
すると、濃度を薄めようとして激しい喉の渇きを感じる様になります。
また、血液の浸透圧が高くなると、尿量や回数が増加します。
さらに、脱水が進み口渇が生じたりします。
尿崩症の方では、大量の薄い尿の排泄(多尿)があるため、脱水状態に陥りやすくなります。
脱水を疑う観察ポイント
体液量が減少するのは、下痢や嘔吐の有無、食事摂取量の低下が原因として考えられます。
加えて体重減少があれば、脱水の疑いが強くなります。
また、普段と比較して血圧が低い、頻脈が見られる場合、脱水を呈している事があります。
毛細血管再充満時間に延長がないかを見ることもポイントです。
毛細血管再充満時間を確認するには、中指の爪を5秒間圧迫し、圧迫をやめてから2秒で元の色に戻らない場合、体液量の減少を疑います。
他にも、ツルゴール反応では、手の甲を親指と人差し指でつまんで、少し持ち上げます。
離すと元に戻りますが、脱水があると元に戻るまでに時間がかかり、2秒以上かかると脱水を疑います 。
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