看護・リハも知っておきたい透析効率データの指標

                     
        
                   
        
                   
      
       

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腎不全や透析についてのおすすめ記事

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者が罹患している疾患を把握し、まずは病態把握をすることが重要です。

病態把握には、血液データやフィジカルアセスメントが大切になりますが、何よりもまずは、解剖・運動・生理学等の基礎を理解していることで、病態理解が深まります。

今回、看護・リハも知っておきたい透析効率データの指標についてまとめていきたいと思います。

透析の効果の見方

尿素除去率(URR;urea reduction ratio)

尿素除去率とは、透析前に存在した尿素量に対する除去された尿素量のパーセンテージである。

65%以上を目標値とします。

尿素除去率は以下の式をもとに算出されます。

((Cs-Co)/Cs)×100=尿素除去率(%)

Cs:透析前BUN、Co:透析後BUN

Kt/V(標準化透析量)

Kt/V(標準化透析量)は、1回の透析によりどの程度血液が浄化されたかを示す指標です。

ケーティー・オーバー・ブイと読みます。

尿素のクリアランス(K)と透析時間(t)の積を体内水分量(V)で割ったものです。

Kt/V(標準化透析量)は以下の式をもとに算出されます。

Kt/V=-Ln(Ct/Co-0.008t)+(4-3.5Ct/Co)×△BW/(BW)

Ct:透析後BUN、Co:透析前BUN、 t:透析時間(hr)、△BW:透析中の体重減少、BW:ドライウエイト(透析後の体重)

Kt/Vの値が大きいほど透析効率がよい事を示し、これは多くの尿素を除去している事を表しています。

Kt/V値の目標は1.6で、最低で1.2だとされています。

1回のKt/Vが1.4~1.6に達するまでは死亡のリスクが低下するとされています。

透析療法では、血液を取り出すポンプの回転速度により血液回路からダイアライザーの中を流れる血液流量(Qb)を調節します。

この速度が速いほど、ダイアライザーで浄化される血液量が増え、透析効率が向上します。

つまり血液流量(Qb)が速ければ、1回の透析量が増加し、Kt/Vが上昇します。

血液がダイアライザー(血液中の老廃物や余分な水分、電解質を透析液へ移すためのろ過装置で、腎臓の糸球体と同じ働きをするもの)を通るときに、血液が接する透析膜の面積の合計を膜面積と言います。

この膜面積が大きい程、通過する血液の浄化量が増加するため、膜面積が大きい程、Kt/Vが上昇します。

心機能低下や、低血圧、血圧が下がりやすい対象者では血液流量(Qb)を下げ、膜面積を小さくする事で心臓の負担や血圧への影響を軽減させます。

このような状態では、Kt/Vを上昇させるには、透析時間を延ばす事が求められます。

タンパク異化率(PCR;protein catabolism rate)

タンパク異化率は、体重1kgあたり1日に産生される尿素窒素の量で、食事におけるタンパク摂取量を反映します

0.9~1.1g/kg/dayを基準として、それよりも低いと死亡リスクが上昇するとの報告があります。

平均時間濃度(TAC;time averaged concentration)

平均時間濃度は血中の尿素窒素濃度の平均値を示すものです。

65mg/dℓを以下を目標値とします。

維持透析患者では血中尿素濃度は透析治療と各治療間で大きく変動するとされています。

この変動の平均濃度が平均時間濃度です。

平均時間濃度は以下の式をもとに算出されます。

TACurea=((C1+C2)×t+(C2+C3)×I)/2(t+I)
C1:透析前値
C2:透析後値
C3:次回透析前値
t:透析時間
I:透析と透析間の時間

                     
        
                   
        
                   
      
       

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