誤嚥性肺炎予防-食後臥位姿勢と誤嚥の関係性-

                     
        
                   
        
                   
      
       

目次

誤嚥性肺炎についてのおすすめ記事

リスク管理のコツ

リスク管理を行うためには、対象者の患っている疾患から病態を把握し、カルテ情報やフィジカルアセスメント等を行うことが必要になります。

フィジカルアセスメントにおいては、その結果や数値だけでなく、なぜその数値や状態になるのか、またその意味を知ることで、対象者の状態像の理解に役立ちます。

今回は、誤嚥性肺炎予防として、食後臥位姿勢と誤嚥の関係性についてまとめて行きたいと思います。

誤嚥が引き起こす問題

誤嚥は、その量が多かったり、繰り返される事で、より重篤な症状を引き起こしてしまう可能性があります。

重篤な症状として、代表的なものは、

・気道閉塞
・気管支の攣縮
・慢性気管支炎、誤嚥性肺炎

などがあります。

嚥下を行う際には、様々な防御機構が働くことによって、誤嚥を防いでいます。

今回は、誤嚥を防ぐ仕組みである防御機能についてまとめていきたいと思います。

正常な嚥下と誤嚥

正常嚥下では、食べ物が口に入ると、咀嚼することにより食塊形成されます。

食塊が口腔から咽頭に送り込まれ、咽頭に達すると嚥下反射が引き起こされます。

嚥下反射というのは、食塊を咽頭から食道まで運ぶ運動を起こす反射です。

咽頭を通過した食塊は食道に送り込まれ、この時、食道の入り口が開き、同時に、喉頭蓋が傘になって気管の入り口をふさぎながら、食塊が食道に送り込まれます。

このような流れにより、正常な嚥下が行われます。

一方、誤嚥というのは、嚥下の機能に問題がある事で、本来は咽頭→食道→胃→腸へと流れていく食物や水分などが、誤って気管内に流れ込んでしまう事をさします。

誤嚥の内容物は、食物や水分だけではありません。

他のものとして、嚥下障害が重度な場合には、唾液や口の中の細菌が気管内に流れ込むこともあります。

食後臥位姿勢と誤嚥性肺炎

食後の臥位姿勢を考える場合、意識障害がなく嚥下機能低下が見られない対象者では、どのような姿勢を取っても誤嚥にはつながりにくいと考えられます。

しかし。意識障害や嚥下機能低下がある場合、食後臥位姿勢によっては誤嚥性肺炎に繋がってしまうことを考える必要があります。

上記のような状態の対象者では、経腸栄養が選択されることがあります(腸管の機能維持ができていれば)。

経腸栄養で、流動食が胃から逆流すると、誤って気管に入ってしまい誤嚥性肺炎を引き起こしてしまうことが考えられます。

食後臥位姿勢と逆流の関係性

食後の臥位姿勢では、背臥位、側臥位(右または左)が取られると思います。

背臥位の特徴は以下のようになります

・胃の位置が脊柱の左側にある
・胃底部が最も低くなる
・幽門部は脊柱の前にあり最も高くなる

これは、流動食が胃底部にしっかりと貯留し、消化液と混ぜ合わさり、蠕動運動によりゆっくりと腸に移動することができます。

左側臥位の特徴は以下のようになります。

・大彎線の位置が下になる
・幽門部が高い位置にくる

これは、大彎線に沿って流動食が貯留し、高い位置に幽門があるため、胃からの排出には時間がかかります。

右臥位の特徴は以下のようになります。

・小彎線の位置が下になる
・噴門部が下向きになる

これは、小彎線に沿って流動食が貯留するので胃からの排出時間としては有利ですが、噴門が下向きのために逆流リスクが高まります。

すなわち、誤嚥性肺炎につながりやすい姿勢とも言えます。

誤嚥を防ぐ臥位姿勢

誤嚥を防ぐ臥位姿勢として、ベッドギャッジアップ角度を検討した研究によると、0°と45°の比較では、45°の方が有意に誤嚥性肺炎が少ないことがわかっています。

45°以上という角度は、患者様の状態によっては取りづらいポジションでもあり、30°以上が推奨されているのですが、30°も困難な場合は、前途したように、左側臥位を利用する事が良いと考えられています。

                     
        
                   
        
                   
      
       

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